日本大百科全書(ニッポニカ) 「エウクレイデス」の意味・わかりやすい解説
エウクレイデス(古代ギリシア哲学者)
えうくれいです
Eukleidēs
生没年不詳。紀元前5~前4世紀のギリシアの哲学者。ソクラテスの弟子で、パルメニデスの書にも親しみ、両者のことばを結び合わせて自己の説をなしたらしい。「善は一つである。それが、ときには知恵、ときには神、ときには理性、そしてその他多くの名でよばれる」と主張した。また比喩(ひゆ)による議論を攻撃し、「比喩となるものが当のものと同様なものならば、むしろ当のものについて語るべきであり、同様なものでなければ比喩を導入すべきではない」と論じた。「けんか好きのエウクレイデス」とあだ名され、彼の弟子たちはメガラ学派、争論派、ときには弁証派などとよばれた。6編の『対話篇(へん)』を書いたと伝えられるが、残存しない。
[田中享英 2015年1月20日]