メガラ学派(読み)めがらがくは(英語表記)Megarian school

日本大百科全書(ニッポニカ) 「メガラ学派」の意味・わかりやすい解説

メガラ学派
めがらがくは
Megarian school

紀元前4世紀のギリシアの哲学の一派。小ソクラテス学派の一つ。メガラエウクレイデスが開いた。彼はただ一つ善なるものが存在するという、エレア派的な説をなしたらしいが、同時に詭弁(きべん)的論駁(ろんばく)を得意とした。そのため別名を「争論派」ともよばれる。この派から、「嘘(うそ)つきのパラドックス」(エピメニデスの嘘)ほかの論理的難問を案出したエウブリデス、その弟子ディオドーロス・クロノス、この派の評判をもっとも高めたというスティルポンなどが出た。彼らはプラトンアリストテレスの哲学説に対して、さまざまな論理的批判を加えたらしい。またディオドーロスとスティルポンは、ストア学派の創立者のゼノンに問答法を教えた師として知られる。メガラ派の意義は、その論理がストア学派に継承され整備されて、新しい論理学を生み出した点にある。それは、述語(名辞)の関係を対象としたアリストテレスの論理学と異なり、命題と命題の関係を扱う命題論理学であった。

[田中享英]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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