コンドライト(読み)こんどらいと(英語表記)chondrite

翻訳|chondrite

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コンドライト」の意味・わかりやすい解説

コンドライト
chondrite

石質隕石うちコンドリュールを含む組織で特徴づけられるもの。エイコンドライトに対応する。落下が目撃された隕石・隕鉄のうち 85%以上を占め,隕石・隕鉄の主要な部分であると考えられる。コンドライトは主成分の化学組成鉱物組成をもとに,さらに次の5つのグループに細分されている。 (1) エンスタタイト・コンドライト (E-コンドライト) ,(2) ブロンザイト・コンドライト (H-コンドライト) ,(3) ハイパーシン・コンドライト (L-コンドライト) ,(4) アンホテライト・コンドライト (LL-コンドライト) ,(5) 炭素質コンドライト (C-コンドライト) 。このうちH,L,LL-コンドライトの3つを合せて普通コンドライト (O-コンドライト) と呼ぶこともある。コンドライトは一般にケイ酸塩鉱物,特に橄欖石や輝石を主成分にするが,C-コンドライトはかなりの水や有機物を含む。C-コンドライトは水素,ヘリウム窒素や他の希ガスなどの著しく揮発性の元素を除くと,ほとんどすべての元素について,太陽大気の元素組成とよく似ている。このことから原始太陽系の始源状態を保存して残している物質と考えられている。そこでコンドライトは太陽系形成の起源の鍵を握っている重要な物質として活発な研究が続けられているが,まだコンドライトやコンドリュールの起源についての定説はない。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コンドライト」の意味・わかりやすい解説

コンドライト
こんどらいと
chondrite

石質隕石(いんせき)のうち、コンドルールとよばれるミリメートル・サイズのケイ酸塩液滴を含む隕石の総称。別名球粒隕石。地球に落下する隕石の大部分(86%)を占める。その化学組成は、揮発性成分を除くと、太陽大気の化学組成に一致する。その形成時は45.5億年前であり、その後、現在に至るまで二次的に溶けた形跡がない。それゆえ、この隕石は原始太陽系星雲の中で最初に形成された微惑星破片であると考えられている。

[小沼直樹]

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