日本大百科全書(ニッポニカ) 「エストニア語」の意味・わかりやすい解説
エストニア語
えすとにあご
Eesti Vabariigi
ウラル語族のフィン語系バルト・フィン諸語の一つで、フィンランド語に近い。エストニア共和国の人口160万(1992)のうち約60%のエストニア人により話されている。北と南の方言に分かれ、その差は大きく、北方言に基づいてエストニア文語がつくられている。9の母音と16の子音からなり、lina「市」、linna「市の」、linnna「市へ」のように、母音と子音に3段の長さの区別がある。形態的には、名詞は単数と複数で、14格に変化する。動詞は人称と数により、現在と過去に活用し、直接法、条件法、命令法、伝聞法の四つの法をもつ。最古の文献としてはバンラッドWanradtとキョルKoellによる『教義問答』(1525)があり、クロイツワルトの手になる民族叙事詩『カレビポエク』Kalevipoeg(1857)も国民文学の基として知られている。
[小泉 保]