ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エピカルモス」の意味・わかりやすい解説
エピカルモス
Epicharmos
[没]前460/前440
ギリシアの喜劇作家。生地はシチリアのシラクサ,または同島のメガラ・ヒュブライア,またはコス島。ドーリス系のシラクサ喜劇の創始者および代表的作家としてシチリアで活躍。作品は 50以上あったらしいが,35編の題名とわずかな断片だけが伝わる。そのうち 18編は神話伝説のもじりで,フリュアケス笑劇と同じように英雄や神々が滑稽化される。脱走兵オデュッセウス,魚屋ポセイドン,大食漢ヘラクレスなどである。またアッチカ古喜劇に現れるアゴン (討論) の形式に似た論争劇もある。さらに中喜劇を思わせるような日常生活を扱ったものもあり,新喜劇に登場するような幇間 (ほうかん) や大酒飲みなどの決り役もあった。彼の喜劇は合唱隊を用いず,宗教的役割もなく,アッチカ喜劇に比べれば道化芝居に近かったが,文学性は高く,アテネでも読まれ,アッチカ喜劇に与えた影響は大きい。
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