エモンス石(読み)エモンスせき(その他表記)emmonsite

最新 地学事典 「エモンス石」の解説

エモンスせき
エモンス石

emmonsite

化学組成鉱物三斜晶系空間群,格子定数a0.7874nm, b0.8018, c0.7567, α95.6°, β94.3°, γ84.7°, 単位格子中2分子含む。黄緑色ガラス光沢。多く皮膜状,まれに針状結晶をなす。硬度約5。二次鉱物としては比較的高い。劈開{010}に完全。比重4.5。光学的二軸性負,2V小,屈折率α1.962, β2.09, γ2.10~2.12。二次鉱物として銅・テルルを含む鉱床の酸化帯中に産する。命名米国の地質学者S.F.Emmonsにちなむ。

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出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「エモンス石」の意味・わかりやすい解説

エモンス石
えもんすせき
emmonsite

重亜テルル酸第二鉄塩の含水物。鉄は高位原子価、テルルは低位原子価の組合せをもった二次鉱物。類似鉱物はない。自形は厚さの薄い長板状あるいは毛状。これが集落状集合や皮膜をなす。テルル鉱物を伴う熱水鉱脈型金・銀鉱床の酸化帯に産し、初生鉱石鉱物は少量の自然金・自然テルル以外はあまり伴わない。日本では北海道札幌(さっぽろ)市手稲(ていね)鉱山閉山)および静岡県下田市河津(かわづ)鉱山(閉山)から微量産出が知られている。

 共存鉱物は、前記初生鉱物のほか、日本の場合はテルル石、パラテルル石paratellurite(TeO2)、石英が主であるが、アメリカやメキシコではロダルキラル石rodalquilarite(Fe3+2H3[Cl|(TeO3)4])、マッカイ石(マカイ石)mackayite(Fe3+[OH|Te2O5])、ソノラ石sonoraite(Fe3+[OH|TeO3]・H2O)、クツティク石cuzticite(Fe3+2TeO6・9H2O)、エツトリ石eztlite(Pb2Fe3+2[(OH)10|(TeO3)3|TeO6]・nH2O)などFe3+(三価鉄)とTe4+(四価テルル)あるいはTe6+(六価テルル)を主成分とするものがみられる。同定は細長い形態と帯緑黄色の色調による。Cu2+(二価銅)を主成分とする亜テルル酸・重亜テルル酸塩に比べ、緑色の色調が「純粋でない」感じがある。光沢が強いが、ほかの含水Fe3+亜テルル酸塩鉱物との識別は困難である。最低1分子程度まで水分が少なくなっているものもあり、結晶構造解析結果では(Fe3+2[TeO3]3・H2O)・xH2O (x=0~1)が正しいとされる。命名はアメリカ地質調査所の鉱床学者サミュエル・フランクリン・エモンスSamuel Franklin Emmons(1841―1911)にちなむ。

[加藤 昭 2016年1月19日]


エモンス石(データノート)
えもんすせきでーたのーと

エモンス石
 英名    emmonsite
 化学式   Fe3+2[TeO3]3・2H2O
 少量成分  Al
 結晶系   三斜
 硬度    ~5
 比重    4.72
 色     帯緑黄~帯黄緑
 光沢    ガラス
 条痕    淡緑黄
 劈開    一方向に完全。二方向に良好
       (「劈開」の項目を参照)

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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