日本大百科全書(ニッポニカ) 「テルル石」の意味・わかりやすい解説
テルル石
てるるせき
tellurite
二酸化テルルの鉱物。パラテルル石paratellurite(化学式TeO2)とは同質異像関係にあるが、安定領域については明らかになっていない。自形はc軸方向に伸び、a軸方向に扁平(へんぺい)な斜方板状で尖端(せんたん)がとがることも平らなこともある。
浅~深熱水性金・銀・テルル鉱床の酸化帯に産するが、初生鉱物の可能性もある。日本では北海道札幌(さっぽろ)市手稲(ていね)鉱山(閉山)および静岡県下田(しもだ)市河津(かわづ)鉱山(閉山)の石英脈の空隙(くうげき)に産する。またテルル(Te)を含む石英脈が黄色に染まることがあるが、これも微細なテルル石の存在によるものとされる。共存鉱物は自然テルル、硫テルル蒼鉛(そうえん)鉱、パラテルル石、石英などのほか、多種の亜テルル酸塩鉱物がある。命名は化学成分としてテルルが存在することによる。
[加藤 昭 2017年12月12日]