エルゴード仮説(読み)エルゴードかせつ(英語表記)ergodic hypothesis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エルゴード仮説」の意味・わかりやすい解説

エルゴード仮説
エルゴードかせつ
ergodic hypothesis

分子原子の集りである力学系の代表点が位相空間内で描く軌道は,エネルギーが一定な面上のすべての点を必ず通過するであろうという仮説。エネルギーが一定の面は,多粒子系では多次元の面となるので,この面上を代表点がくまなく通過するときには,それぞれの微視的状態の実現確率は位相空間の体積によって与えられると考えてよい。エルゴード仮説を満たす性質をエルゴード性という。このような過程では種々の点を通過したのちに初めの状態に戻るときがいつかはくるわけであって,この回帰ポアンカレサイクルという。この時間は普通は無限に長い時間であると想像される。エルゴード仮説は上記の意味では成立しないが,さらに弱い条件下で成り立つことが示されている。アプリオリ確率を基礎にすれば,この仮説は必要ではなく,この立場から J.W.ギブズ統計力学を打立てた。

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