改訂新版 世界大百科事典 「オオガシラ」の意味・わかりやすい解説
オオガシラ (大頭)
puffbird
キツツキ目オオガシラ科Bucconidaeの鳥の総称。この科の鳥は名が示すように大きな頭をもち,くびと尾が短く,全体にずんぐりした体つきをしている。枝に静かに止まっているときには,体とくびの羽毛を膨らませているために,〈ふくれた鳥〉という英名がつけられた。くちばしは幅広くて太く,先端がかぎ状に曲がり,脚は対趾足(たいしそく)である。全長は15~25cmの小~中型の鳥で,黒色,白色,褐色などのじみな羽色をしていて,雌雄同色である。熱帯林の樹上に単独か,雌雄2羽ですみ,昆虫類を主食としている。採食方法はヒタキ類と同じで,見晴らしのよい枝に止まっていて,飛んでくる昆虫を見つけたり,あるいは近くの葉や枝にいる昆虫類の幼虫,クモ類,ときには小型のトカゲ類を見つけると,飛び出し,幅広いくちばしでくわえとる。繁殖期には,多くの種が森林内の急斜面,崖あるいは平地の地面にくちばしで巣穴を掘るが,樹上のシロアリ類の巣塚に巣穴を掘る種もいる。地面に巣穴を掘る種の中には,巣穴の入口に枯れた小枝などを並べたり,あるいは積み上げたりして,入口を隠す種もいる。巣穴の奥を広げて産室をつくり,土の上に直接か,枯草や枯葉をわずかに敷き,2~3個の白い卵を産む。メキシコ南部からブラジル南部の熱帯林に約30種が分布している。代表種としては,メキシコ南部からアマゾン川流域に分布し,黒褐色と白色のまだらな羽色をした全長25cmの大型種シロエリオオガシラNotharchus macrorhynchusがいる。
執筆者:齋藤 隆史
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報