日本大百科全書(ニッポニカ) 「オクタン」の意味・わかりやすい解説
オクタン
おくたん
octane
炭素数8個からなる飽和炭化水素(アルカン)の総称。18種の構造異性体と4種の光学異性体があり、合計22種の異性体がすべて分離されている。IUPAC命名法では、オクタンのうち、直鎖状のCH3(CH2)6CH3のみをオクタンといい、他の異性体は2-メチルヘプタン(CH3)2CH(CH2)4CH3などのように構造を表す名前をつける。オクタンは石油中に存在する可燃性液体。混合物からの分離には側鎖がないオクタンが尿素と付加化合物をつくることを利用する。
イソオクタンは命名法の一般則からいうと、2-メチルヘプタンであるが、燃料の分野では2,2,4-トリメチルペンタンをイソオクタンとよんでいる。2,2,4-トリメチルペンタンは石油中に存在し、ガソリン臭のする可燃性液体であり、ガソリンのオクタン価測定の際の標準物質とされる。オクタンの異性体は水にはほとんど溶けないが、ベンゼン、クロロホルム、エーテルなどには溶ける。有機溶剤として用いられる。
[佐藤武雄・廣田 穰]