( 1 )本来、[ 一 ]①のような尊敬語であったが、時代が下るに従い敬意が低下し、[ 一 ]②、[ 二 ]のような丁寧語となる。狂言台本等では、「ござる」「おりゃる」「おじゃる」の三者間には敬意の差があり、前者は下人から主人に対して用いているのに対し、後者二つは、対等又はそれ以下に対する親愛の気持の表現として用いている。「狂言記」では尊敬語としてよりは丁重語、または丁寧語の補助動詞(テ…、デ…など)の例の方が多い。
( 2 )室町時代末頃から「おりゃる」の衰退に伴い「おじゃる」が優勢となり、江戸時代初期頃まではかなり勢力を有していたが、江戸時代前期上方語の資料には、特定の階級(大名、武士、僧侶)や年配の町人などに使用が限られており、比較的短命であった。
( 3 )命令形は「おじゃ」となることがあり、またそれに「や」が付いた「おじゃや」の形もある。「伎・傾城壬生大念仏‐上」の「今一度蔵へ入尋ておじゃ」、「浄・夕霧阿波鳴渡‐中」の「あの子をせめて相駕籠(あひかご)でいざおじゃやとだきよするを」など。
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