オルコメノス(読み)おるこめのす(英語表記)Orchomenos

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オルコメノス」の意味・わかりやすい解説

オルコメノス
おるこめのす
Orchomenos

ギリシア中部、ボイオティア北部にあった古代都市。古代ギリシアには同名の地がいくつかあるが、ボイオティアにあった町がもっとも有名である。ここでは、新石器時代、青銅器時代を通じて重要な遺跡が発見されており、後期青銅器時代(ミケーネ時代)の王宮跡、とくに大穹窿墓(きゅうりゅうぼ)(トロス)は有名で、ミケーネのそれと並ぶものである。同じボイオティアにあったテーベとは違って神話に乏しいが、ニンフの崇拝地として著名である。ホメロスによればミニアイ人の町と歌われている。歴史時代、ボイオティアで最初に貨幣をもち(前550ころ)政治的にも活躍したが、ウナギの産地として有名であったコパイス湖の氾濫(はんらん)やテーベの隆盛のため漸次衰退し、紀元前364年テーベを盟主とするボイオティア同盟により滅ぼされた。今日では、近くに同名の町があるが一寒村にすぎない。

[真下英信]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オルコメノス」の意味・わかりやすい解説

オルコメノス
Orchomenos

古代ギリシア,ボイオチアの古代都市。ミニアス陶器や「ミニアスの宝庫」の発掘が示すように,中・後期ヘラディック文明期 (中・後期青銅器時代) にはボイオチアの中心的な集落の一つとして繁栄したが,歴史時代に入ると覇権テーベに移った。前4世紀には反テーベ策をとったが,前 346年テーベに破壊され,再建後はふるわなかった。他に同名の都市がアルカディアにもあった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

春闘

春の時期に労働組合が一斉に賃上げ、労働条件の改善に関する交渉を行なうこと。欧米では、産業別に強力な労働組合が存在し、それらが労働条件改善への闘争を繰り広げて成果を得てきた。だが、日本では企業ごとに労働...

春闘の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android