教授・学習を行う学校の基礎的施設で、学級活動の環境を構成する物的基礎である。とくに義務教育学校では、教室は普通教室と特別教室とに大別される。普通教室は授業だけではなく集団生活の場でもあり、とくに小学校低学年ではそのための設備上の配慮がなされる。特別教室は理科・音楽・図工(美術)などの特定教科のために設けられ、実験室や準備室などが付設される。
教室の形状は明治時代以来、4間(約7.3メートル)×5間(約9メートル)の長方形が標準とされ、また閉じられた空間として構成されてきた。しかし、とくに1980年代以降は文部省(現文部科学省)による補助もあり、従来の教室間あるいは教室と廊下との間の壁を取り払ったオープンスペースの教室が設けられるようになった。これは、教育方法の多様化を反映し、またそれを施設面から促進しようとする空間設計であり、特別活動における各種の集会や学習の形態・展開に応じた可変的な空間として活用されている。急速な情報化の進展に対応するために、コンピュータ学習のスペース(教室)の設置も徐々に進められてきている。
一方、少子化による児童・生徒数の減少に伴って余裕教室(文部科学省の定義では、将来とも恒久的に余裕となると見込まれる普通教室)が生じている。全国の公立小・中学校では、1993年(平成5)から2005年までに累計で12万6866の新規余裕教室が発生したといわれている(文部科学省調査)。この余裕教室は、引き続き学校施設(多目的教室など)として使用され、また学校施設以外の公共施設(社会教育施設、社会福祉施設など)に転用され、その活用が進められている。
[笠間賢二]
… 産業革命はその一方で,より新しい学校建築の発展を促した。それは各都市に盛んに造られるようになった工業学校のような施設で,ここでは各教科ごとにその目的に沿った設備をもつ教室が準備され,それぞれに専任の教員が配置されるというかたちが現れる。これとは別に,ドイツの私立学校(ギムナジウム)などでは,早くから生徒を年齢・進度別のグループに分けて学級を編制する方式が行われており,教室ごとに黒板が置かれ,それに向かって生徒たちの机が配置される近代的な教室ができ上がっていた。…
※「教室」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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