かな

精選版 日本国語大辞典 「かな」の意味・読み・例文・類語

か‐な

〘終助〙
[一] (哉) (係助詞「か」の文末用法に、詠嘆終助詞「な」が付いてできたもの) 文末にあって感動を表わす。中古以後の用法。上代には「かも」を用いた。
常陸風土記(717‐724頃)茨城「能く渟(たま)れる水哉〈俗(くにひと)与久多麻礼流彌津(よくたまれるみづ)可奈(カナ)といふ〉」
※伊勢物語(10C前)六五「恋せじとみたらし河にせしみそぎ神はうけずもなりにけるかな」
俳諧・俳諧古選(1763)付録「春の海終日(ひねもす)のたりのたり哉〈蕪村〉」
[二] (疑問や反語を表わす終助詞「か」に詠嘆の終助詞「な」の付いてできたもの) 疑問をこめた詠嘆や、判断を保留して問いかけたり、自問したりする意などを表わす。近世以後の用法。「かなあ」ともなる。「来るのかな」「そうかな」「具合はどうかな」
※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)四「なるほどさうも譃(うそ)ばなしがしてへかナア」
吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉二「あの方は洋行なすった事があるのですかな」
[語誌](1)上代の「かも」の役割を引き継ぎ、中古、中世にかけて和歌散文で広く用いられた。
(2)上代文献の「常陸風土記」にも唯一ながら用例が見られるので、奈良時代に全くなかったとは言えないが、「俗云」の注記から、口頭語としてだけ存在したかと推定される。ただし、風土記の例を後世の補入とする説もある。
(3)和歌では、文中の助詞「も」を承けて一種の呼応をなし、「…も…かな」のように用いられる例が目立つ。中世以降は連歌、俳諧等の世界において切れ字として用いられた。

かな

〘名〙 「ねこ(猫)」の異名。〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「かな」の意味・読み・例文・類語

か‐な

[連語]《終助詞「か」+終助詞「な」》文末にあって、名詞および名詞的な語、動詞・形容詞連体形などに付く。
念を押したり、心配したりする気持ちを込めた疑問の意を表す。「うまく書けるかな」「君一人で大丈夫かな
自分自身に問いかけたり、自分自身の意志を確認したりする意を表す。「あれはどこにしまったかな」「勉強でもするかな
(「ないかな」の形で)願望の意を表す。「だれか代わりに行ってくれないかな」「早く夜が明けないかな
理解できない、納得いかないという意を表す。「先輩に対してあんな口のきき方するかな
[補説]近世以降の用法。

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