カリヨン(その他表記)carillon[フランス]

デジタル大辞泉 「カリヨン」の意味・読み・例文・類語

カリヨン(〈フランス〉carillon)

さまざまな音高をもつ多数の鐘を一組みにした打楽器教会鐘楼などにつるし、手や機械で打ち鳴らす。組み鐘。カリロン。

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精選版 日本国語大辞典 「カリヨン」の意味・読み・例文・類語

カリヨン

  1. 〘 名詞 〙 ( [フランス語] carillon ) 旋律打楽器一つ音程を異にする多数の鐘(ふつう三〇~五〇個)をつるし、手または機械装置で打ち鳴らして奏する。教会の塔などにつりさげられる。組み鐘。ベル
    1. [初出の実例]「基督教寺院のカリオンの、数個の鐘がこもごもに鳴る」(出典:帰郷(1948)〈大仏次郎〉花)

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改訂新版 世界大百科事典 「カリヨン」の意味・わかりやすい解説

カリヨン
carillon[フランス]

教会や市庁舎などの塔に据え付けられた,それぞれ一定の音高に調律された一組の鐘。音域,鐘の数は時代,地方により異なるが,全半音階を有する2~3オクターブのものが18世紀の標準的なもの。語源がラテン語quadrilionem(四つ一組の意)であるように,市民に時を告げるために4個の鐘を塔の上から打ったのがその原形とみられる。13世紀にオルゴール方式の自動演奏装置が,16世紀初頭にげんこつでたたく棒状の手鍵盤と低音用の足鍵盤の機構が採用され,演奏の可能性が拡大した。16~17世紀にフランス北部,ベルギーオランダで特に愛好され,各都市が競って設置し,カリヨン製作と演奏の中心地となった。近代になり一時衰退したが,19世紀末より復興の動きがいちじるしく,奏者養成所の設立,定期演奏会の再開などにより,カリヨンの響きが再び町の名物となった。これと並行してアメリカにも多くのカリヨンが設置され,アメリカは20世紀のカリヨン音楽の第2の中心地となっている。
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百科事典マイペディア 「カリヨン」の意味・わかりやすい解説

カリヨン

ベル(鐘)を組み合わせたもので,組鐘とも訳す。中世からバロック時代にかけてネーデルラント,フランスなどで発達し,その後英国や米国に広まった。教会や市庁舎の塔に設置されたほか,室内用の小型カリヨンもある。オルゴール方式の自動演奏装置か鍵盤(けんばん)で鳴らされる。元来は時報用だったが鍵盤の採用で演奏の可能性が広がり,近代に入ると数十個のベルのセットも誕生した。
→関連項目鉄琴

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カリヨン」の意味・わかりやすい解説

カリヨン
carillon

楽器の一種。チャイムを発達させたもので,半音階的な音階をつくる2ないし7オクターブの鐘を塔にしかけ,上部に置かれた鍵盤で奏する。 16世紀以来,特にフランドルで発達。自動装置をもつものもある。

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