打楽器の一種。長さ10.6~25cm,幅2.5~3.2cm,厚さ0.6~1cmのよく鍛えられた鉄板をクロームめっきし,共鳴箱の中に木琴のように並べたもの。これを長さ33cmほどの柄の先にシンチュウかプラスチックの硬い小さな球をつけた桴(ばち)で奏する。通常音域はトから二オクターブ半上まである。音色は透明で清純な響きをもち星の輝きを思わせる。ドイツ語(英語も同形)の〈グロッケンシュピール〉は,ベル(鐘)を鳴らすの意味で,元来はカリヨンも含めて調律されたベルのセットを指した。ベルのかわりに金属のかたまりを鍵盤状に並べた楽器はカリヨンの愛好されたオランダや北フランスで使われはじめた。鍵盤は当初円筒形であったが,17世紀ガムランの金属音板サロン,ガンバン等がオランダに紹介され,その影響を受けて,カリヨンの鋳造で知られたヘモニー兄弟François & Pieter Hemonyが現在のような板状に改良した。1739年ヘンデルが《サウル》に,91年モーツァルトが《魔笛》に使用している。その後あまり使われなかったが,R.ワーグナーが《マイスタージンガー》や《ワルキューレ》に使用して以来,オーケストラでよく使われるようになった。なお行進などに便利なように,リラ形の枠にはめこんだタイプは〈ベル・リラ〉と呼ばれる。
執筆者:有賀 誠門
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グロッケンシュピールともいい、音高の定まった長方形の金属板を、木琴のように二列に配列した体鳴楽器。音域は約二オクターブが普通。共鳴をよくするため、金属板はフェルトで支えられる。細い棒の先に真鍮(しんちゅう)やプラスチックの球をつけた、マレットとよばれる桴(ばち)で演奏する。
元来はベルの集合体であったが、18世紀以後、東南アジアの体鳴楽器(ガムランのサロンなど)の影響下に改良が進んだと考えられる。オーケストラでの使用が広まるにつれ、金属板の下に共鳴用の筒を並べて取り付けたもの、音の余韻を消すために足ペダルがついたものが生まれ、ピアノをモデルとした改良が進んだ。他方、古代ギリシアのリラを模して、枠の内側に金属板を配列したものをベル・リラという。左手で枠を支え、右手の桴で打つので、行進しながらの演奏には便利である。なお、倍音を多くもつため、速いパッセージを弾く旋律楽器としては不向きであろう。
[藤田隆則]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
… 金属製打楽器も,シンバルのように打ち合わせるものと銅鑼のように桴で打つものとがあるが,鈴のように振って鳴らす(振奏)ものもある。金属製打楽器で音階を奏することができるのは,木琴を金属製にした鉄琴のほか,なべ形の銅鑼を横に並べたタイプのものがある。インドネシア(ジャワおよびバリ)のガムランは,このように音階をもった金属製打楽器群を主体に編成された大規模なアンサンブルである。…
※「鉄琴」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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