カルカソンヌ(読み)かるかそんぬ(英語表記)Carcassonne

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カルカソンヌ」の意味・わかりやすい解説

カルカソンヌ
Carcassonne

フランス南部,オード県の県都。オード川とミディ運河に臨む都市。楕円形の城壁に囲まれた中世の町並みを保存していることで知られる。オード川左岸に 13世紀につくられた,道路が規則正しく直交する町並みと,急崖に囲まれた右岸史跡の「シテ」とに分かれている。前1世紀にローマ人がここに要塞を築き,5世紀には西ゴートの支配下で城下町が発達,ローマ街道が通じて商業も徐々に発展した。8世紀前半のサラセン人による占領を経て 13世紀にはアルビジョア十字軍の戦いの舞台となり,ローマ教皇,フランス国王,地方諸侯など,それぞれの政治的,軍事的思わくの対象となったが,結局中央政府に属し,地方の行政,軍事の中心地の一つとなった。周囲約 1500m,堅固さで知られる城壁などは,19世紀半ばに史跡監督官の職にあった P.メリメの努力により,建築家ビオレ=ル=デュクの修復が実現し廃墟となるところを免れた。町にはミシェル大聖堂,聖バンサン聖堂 (ともに 13世紀) などがあり,産業の中心は観光業。 1997年世界遺産の文化遺産に登録。ワインの取り引きの中心地で,ゴム,繊維などの工業も発達。人口4万 4991 (1990) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カルカソンヌ」の意味・わかりやすい解説

カルカソンヌ
かるかそんぬ
Carcassonne

フランス南部、オード県の県都。カルカッソンヌともいう。人口4万3950(1999)。ローマ時代に軍事基地として建設された古い町で、この地域の観光の中心地。シテとよばれる古い町と下町とが、オード川を挟んで立地する。右岸の丘の上にある古い町は、約60の塔をもつ12~13世紀建設の城壁に囲まれ、典型的な中世都市の姿をいまにとどめている。1997年には「歴史的城塞(じょうさい)都市カルカソンヌ」として世界遺産の文化遺産に登録されている(世界文化遺産)。城壁の基部には西ゴート時代のものも残るが、これは19世紀に修復された。シテのサン・ナザレ聖堂はロマネスク・ゴシック式建築として有名である。また対岸の下町は13世紀のルイ9世の時代に建てられた。工業はあまり発達していないが、毛織物皮革製品、ワインを産する。

[青木伸好]


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