日本大百科全書(ニッポニカ) 「カルガモ」の意味・わかりやすい解説
カルガモ
かるがも / 軽鴨
spotbill duck
[学] Anas poecilorhyncha
鳥綱カモ目カモ科の鳥。日本のカモ類のうち低地で夏にみられるのは本種だけであるので「ナツガモ」の俗称もある。マガモに近い東洋産の種で、日本、中国のカルガモ、鼻に小赤瘤(りゅう)のあるビルマカルガモ、インド産で鼻に大赤瘤のあるアカボシカルガモの3亜種がある。
日本では、北部のものは冬は南に移動するが、本州中部では留鳥で水田や葦原(あしはら)などで繁殖し、秋にはイネを食害したりする。都市の公園や堀などにも飛来して越冬し、繁殖するものもある。全長約60センチメートル。黒褐色であるが羽縁は淡色で、三列風切(かざきり)外縁は白い。翼鏡には白帯がなく、飛ぶと翼下面の白色が目だつ。雌雄同色でマガモの雌に似た羽斑(はん)であるが、赤褐色みはなく暗色なのでクロガモの地方名もある。習性や声もマガモとほとんど同じで、近縁であるがその雑種は不妊性である。
近縁で小形のマミジロカルガモA. supercilliosusのグループは、太平洋諸島からオーストラリアに、本種にかわって分布する。
[黒田長久]