カンスゲ(読み)かんすげ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カンスゲ」の意味・わかりやすい解説

カンスゲ
かんすげ / 寒菅
[学] Carex morrowii Boott

カヤツリグサ科(APG分類:カヤツリグサ科)の多年草山地の林床に生える。高さは20~40センチメートル、葉の幅は1センチメートルほどで堅い。寒中にも葉が青々としているのでカンスゲの名がある。斑(ふ)入りのものは庭に植え、切り草にも使われる。福島県以西の本州、四国、九州に分布する。カンスゲと名のつくものは日本ではほかに数種ある。カンスゲに似て全体が小形のヒメカンスゲC. conica Boottは日本各地の林床に普通に生える。葉の幅は2~4ミリメートル、濃緑色でざらつく。オクノカンスゲC. foliosissima Fr.Schm.はカンスゲに似ているが、葉の断面がW字型に波打つことで区別できる。コカンスゲC. reinii Franch. et Sav.は林内に生え、いちばん上の小穂は雄花からなり、残りの小穂の上部は雄花、下部雌花がつく。

[木下栄一郎 2019年7月19日]


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百科事典マイペディア 「カンスゲ」の意味・わかりやすい解説

カンスゲ

本州〜九州の山中林内にはえるカヤツリグサ科の常緑多年草。葉は根生し,濃緑色線形でかたく,幅5〜10mm,縁はざらつく。早春,高さ20〜40cmの花茎を出し,頂に線形で長さ2〜4cm,褐色を帯びた雄性小穂をつける。側小穂は雌性で,基部に鞘(さや)のある包葉があり,短円柱形で密に果実をつける。葉に白斑のあるものもあり観賞用に栽培される。近縁のヒメカンスゲは葉の幅2〜4mm,雄小穂は棒状で短く,果胞に短毛がある。コカンスゲは葉の幅狭く,縁は強くざらつく。ミヤマカンスゲは葉が少し柔らかく,雌小穂は細く,疎に果実をつける。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カンスゲ」の意味・わかりやすい解説

カンスゲ(寒菅)
カンスゲ
Carex morrowii

カヤツリグサ科の多年草。太平洋側の山地の林下に生じる。葉は根生で多数叢生し,長さは 50cmほどになる。葉質が硬く,じょうぶである。4~5月頃,葉の間から稈が伸び,その頂端に淡褐色で,長さ2~4cmの雄花穂を1個つけ,その下方黄褐色,長さ 2.5cmで直立する雌花穂を数個つける。

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改訂新版 世界大百科事典 「カンスゲ」の意味・わかりやすい解説

カンスゲ

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世界大百科事典(旧版)内のカンスゲの言及

【スゲ(菅)】より

…菅笠を編むカサスゲやたまに庭に植えるカンスゲを含むカヤツリグサ科のスゲ属植物の総称で,植物学的にスゲと呼ぶ特定の種はない。 多年草で,地中に長い地下茎を出すものもあるが,細い葉と花茎が密に叢生(そうせい)して株を作る方が多い。…

※「カンスゲ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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