カーディー(読み)かーでぃー(英語表記)qāī

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カーディー」の意味・わかりやすい解説

カーディー
かーでぃー
ī

イスラム法シャリーア)に基づいて民事刑事に相当する審理を行う裁判官のこと。ムスリム共同体の長であるカリフに任命されるのをたてまえとする。カーディーの拠(よ)る法が本質的に宗教法であるため、カーディーの機能もまた宗教的であり、コーラン処罰規定のある犯罪(ハッド)、ワクフ(寄進財産)の管理、婚姻、相続といった宗教と密接な問題を取り扱うのみである。シャリーアの適用されない行政訴訟治安に関する訴訟、処罰はカーディーの裁判にはよらずに、マザーリム法廷(行政裁判所)、シュルタ(警察)、ムフタシブ(市場監督官)などの別の機関が担当した。

鎌田 繁]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カーディー」の意味・わかりやすい解説

カーディー
qādī

イスラム社会法官。各地方ごとに任命され,イスラム法に基づいて民事ならびに刑事事件を裁き,その判決に対する上告は許されない。首都には大法官 (カーディー・アルクダート) が任命され,一つの町でも必要があれば各法学派のカーディーがそれぞれ任命された。

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