ガルノー(読み)がるのー(英語表記)François-Xavier Garneau

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガルノー」の意味・わかりやすい解説

ガルノー(François-Xavier Garneau)
がるのー
François-Xavier Garneau
(1809―1866)

カナダ歴史家。フランス系。ケベックに生まれ、公証人の仕事をするかたわら「しばしば歪(ゆが)んだ形で伝えられている(フランス系カナダ成立の)ことどもについて、正しい記録を残すため」に『カナダ史』3巻(1845~48)を執筆した。フランス人によるカナダ発見から説き起こして、領主制時代、イギリス軍によるケベック攻略、イギリス領植民地への移行アメリカ独立戦争の影響などを叙述した最初の本格的フランス系カナダの歴史として高く評価される。当時イギリス領に編入され、アメリカなどからの経済的圧迫も加わって、沈滞ぎみであったフランス系カナダ人連帯意識を目覚めさせるのに大いに役だった。

西本晃二


ガルノー(Saint-Denys Garneau)
がるのー
Saint-Denys Garneau
(1912―1943)

カナダの詩人。フランス系。歴史家F・ガルノーの曽孫(そうそん)。1930年代にモントリオール発刊の進歩的自由主義雑誌『ラ・ルレーブ』に拠(よ)って活躍したが、病弱のため31歳で夭折(ようせつ)した。闘病のため生涯のほとんどを田園孤独のうちに過ごし、つねに死と直面して、存在の哲学的意味を平易なことばで問いかける作品を『虚空に戯れる視線』(1937)や『孤独』(1949、死後刊)に発表した。

[西本晃二]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ガルノー」の意味・わかりやすい解説

ガルノー
Garneau, François Xavier

[生]1809.6.15. ケベック
[没]1866.2.3. ケベック
フランス系カナダの歴史家。公証人や翻訳官をつとめるかたわら著わした大作『カナダ史』 Histoire du Canada (3巻,1845~48) は,フランス系カナダ人の民族としての誇りをよみがえらせるのに大いに寄与した。

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