がん診療連携拠点病院(読み)がんしんりょうれんけいきょてんびょういん

共同通信ニュース用語解説 「がん診療連携拠点病院」の解説

がん診療連携拠点病院

全国どこでも質の高いがん医療を提供できることを目的に設置。今年4月1日時点で、国は全国392の医療機関を指定している。/(1)/手術抗がん剤放射線による治療/(2)/緩和ケアを実施できる体制/(3)/放射線診断などの専門医配置/(4)/患者や家族への治療情報提供―などが指定要件に定められている。患者からの相談を受け付ける「がん相談支援センター」は全国の拠点病院に設置されている他、地域がん診療病院(36医療機関)にも整備されている。患者本人や家族から治療内容、就労など生活面の不安やセカンドオピニオンに関する相談を幅広く受け付けているという。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「がん診療連携拠点病院」の意味・わかりやすい解説

がん診療連携拠点病院
がんしんりょうれんけいきょてんびょういん

全国どこでも質の高いがん医療を提供することができるよう、がん医療の均霑(きんてん)化(地域格差解消)を目ざし、整備が図られている病院。

概要

日本のがん対策は、「がん対策基本法(平成18年法律第98号。2016年改正)」に基づく「がん対策推進基本計画」に沿って進められており、それを基本に「都道府県がん対策推進計画」が策定されている。第4期がん対策推進基本計画(2023年度から)では「がん医療分野」の目標として「医療提供体制の均てん化・集約化」があげられている。「がん診療連携拠点病院等の整備に関する指針令和4年8月1日)」に基づき、都道府県知事が病院を推薦し、厚生労働省の「がん診療連携拠点病院等の指定に関する検討会」の審議を踏まえ、厚生労働大臣が拠点病院として指定している。

 がん診療連携拠点病院等は、(1)各都道府県に原則として1か所整備され、都道府県におけるがん対策の中心的役割を担う「都道府県がん診療連携拠点病院」、(2)都道府県内の各地域(二次医療圏)に原則として1か所整備され、がん医療圏での中心的役割を果たす「地域がん診療連携拠点病院」、(3)がん診療連携拠点病院のないがん医療圏に1か所整備され、隣接するがん診療連携拠点病院と連携する「地域がん診療病院」、(4)特定のがんについて都道府県内でもっとも多くの患者を診療する「特定領域がん診療連携拠点病院」、(5)および日本のがん対策の中核的機関である「国立がん研究センター」に分類される。なお、各類型において指定要件の充足状況が不十分な場合に経過措置的に指定される「特例型」がある。

 2024年(令和6)4月の時点で、都道府県がん診療連携拠点病院51か所、地域がん診療連携拠点病院348か所(うち特例型4か所)、特定領域がん診療連携拠点病院1か所、地域がん診療病院61か所が指定されている。

 地域がん診療連携拠点病院のおもな指定要件として以下の事項が定められている(がん診療連携拠点病院等の整備について。厚生労働省健康局長通知。令和4年8月1日)。

(1)診療体制:集学的治療等の提供体制および標準的治療等の提供や緩和ケアの提供体制などを含む診療機能、専門的な知識および技能を有する診療従事者の配置など。

(2)診療実績:院内がん登録数が年間500件以上。悪性腫瘍(しゅよう)の手術件数が年間400件以上。がんに係る薬物療法のべ患者数が年間1000人以上。放射線治療のべ患者数が年間200人以上。緩和ケアチームの新規介入患者数が年間50人以上など。

(3)人材育成等:人材の確保や育成の取組、資格取得支援、がん診療に携わる医師を対象とした緩和ケアに関する研修の開催など。

(4)相談支援および情報の収集提供:がん相談支援センターの設置および相談支援の実施、院内がん登録の実施、自施設で対応できるがんについての広報など。

(5)臨床研究および調査研究:政策的公衆衛生的に必要性の高い調査研究への協力、臨床研究コーディネーター(CRC)の配置など。

(6)医療の質の改善の取組および安全管理:日本医療機能評価機構の審査等の第三者による評価を受けていることなど。

[前田幸宏 2024年11月18日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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