がん診療連携拠点病院(読み)がんしんりょうれんけいきょてんびょういん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「がん診療連携拠点病院」の意味・わかりやすい解説

がん診療連携拠点病院
がんしんりょうれんけいきょてんびょういん

全国どこでも質の高いがん医療を提供することができるよう、がん医療の均霑(きんてん)化を目ざし、整備が図られている病院。

[前田幸宏 2019年11月20日]

概要

日本のがん対策は、「がん対策基本法(平成18年法律第98号。2016年改正)」に基づく「がん対策推進基本計画」に沿って進められており、それを基本に「都道府県がん対策推進計画」が策定されている。都道府県知事は「がん診療連携拠点病院等の整備に関する指針」を踏まえ、既存の病院のなかからがん診療連携拠点病院等を推薦し、厚生労働大臣が指定している。

 がん診療連携拠点病院等は、各都道府県で中心的役割を果たす「都道府県がん診療連携拠点病院」、都道府県内の各地域(二次医療圏)で中心的役割を果たす「地域がん診療連携拠点病院」、特定のがんに対し都道府県内で拠点的役割を果たす「特定領域がん診療連携拠点病院」、および日本のがん対策の中核的機関である「国立がん研究センター」に分類される。「地域がん診療連携拠点病院」は、「地域がん診療連携拠点病院(高度型)」と一般型の「地域がん診療連携拠点病院」に分類される。

 2019年(平成31)4月1日時点で、がん診療連携拠点病院392か所、地域がん診療病院36か所が指定されている。392か所の内訳は、都道府県がん診療連携拠点病院50か所、地域がん診療連携拠点病院(高度型)14か所、地域がん診療連携拠点病院325か所、特定領域がん診療連携拠点病院1か所、国立がん研究センター中央病院および東病院の2か所である。拠点病院等の指定については、厚生労働省の検討会において、見直し等が適宜行われている。

 地域がん診療連携拠点病院は、おもな指定要件として以下の事項が定められている。

(1)診療体制:診療機能、診療従事者の配置、設備機器など医療施設、敷地内禁煙等。

(2)診療実績:院内がん登録数が年間500件以上。悪性腫瘍(しゅよう)の手術件数が年間400件以上。緩和ケアチームの新規介入患者数が年間50人以上など。

 そのほかに、がん診療に携わる医師を対象とした緩和ケアに関する研修の開催、がん相談支援センターの設置、院内がん登録の実施、自施設で対応できるがんについての広報などが要件とされている。

[前田幸宏 2019年11月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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