秋田県の郷土料理。粳(うるち)米を炊いてすり鉢に入れて搗(つ)きつぶし、細竹の回りに塗り付けて炭火で焼いたもの。江戸時代に猟師や木こりなどが数日山に入るとき、携帯弁当の日もちをよくするために握り飯の表面を焼いて焼きむすびとした。江戸の後期に大館(おおだて)の近くの花輪に、時の藩主が巡視にくるというので、接待の料理に、焼きむすびの変形として杉の小さい棒の周囲に飯を塗り付け、棒の一端は切り落とし、他の一端をとがらして、いろりの灰に突き立てて焼いて献上した。藩主はこの味を賞賛して名称を尋ねたが、創作品で名前がない。ある者が当意即妙に「きりたんぽ」と答えた。短穂の槍(やり)の一端を切り落とした形に似ているからである。それからこの名称がそのまま用いられるようになったという。初めはしょっつる鍋(なべ)に入れるものではなかったが、現在はこの名物鍋料理の一要素として用いられている。きりたんぽの料理はいろいろあり、いまは大量生産も行われているが、これを一つの商品として売り始めたのは昭和の初期、能代(のしろ)の一料理店である。
[多田鉄之助]
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…これを煮汁にして,ハタハタ,タラ,イカなどを野菜といっしょに煮て食べる。 きりたんぽなべきりたんぽは米飯をこねて太い串(くし)に塗りつけて焼いたちくわ形のもの。これを適宜に切り,鶏肉とセリ,ゴボウ,マイタケなどを取り合わせたなべ物にする。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」