しょっつる

日本大百科全書(ニッポニカ) 「しょっつる」の意味・わかりやすい解説

しょっつる

秋田県の郷土料理。しょっつるは塩汁がなまったことばだが、小魚を1年余り塩を加えて漬け込み、それから絞り出した汁である。独特の臭みがあり、これを調味液にして、しょっつる鍋(なべ)をつくるのである。1950年(昭和25)以前のものは独特の臭みが強くて、味はよいが慣れないと食べにくかった。それ以後は、臭気を除き、味が加わる方法が開発され、いまは瓶詰にしたものが市販されている。秋田ではしょっつる鍋というよりは、貝焼(かや)きといっている。それは鍋に大きなホタテガイ貝殻を用いるからである。しょっつる鍋は、銘々用の鍋で、小さいこんろを熱源に用いる。これを貝風呂(ふろ)といっているが、最近は貝殻でないしょっつる用の鍋もある。貝鍋のホタテガイは青森方面からきている。初冬のころにはハタハタという特産の小魚を用い、その卵(ぶり子)も加えることがある。長方形厚切りの豆腐ネギセリマイタケなどときりたんぽを加える。

多田鉄之助

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百科事典マイペディア 「しょっつる」の意味・わかりやすい解説

しょっつる

秋田地方特産の魚醤油一種。塩汁からの転化。ハタハタやマイワシを生のままかめに入れ塩漬し,長期間貯蔵して浸出液をこしとったもの。古くは数年以上おき醤油代用ともした。特有の臭みと味があり,これでしょっつる鍋(なべ)をつくる。ハタハタ,タラなどに豆腐,ネギ,セリなどを加えて煮るが,本来は鍋にホタテガイの殻を用いた(しょっつる貝焼(かやき))。→魚醤
→関連項目きりたんぽハタハタ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「しょっつる」の意味・わかりやすい解説

しょっつる

魚醤汁とも書く。塩汁のなまったもので,魚の塩漬から浸出した液 (→魚醤 ) 。秋田県特産。また,この汁を煮汁として魚介類 (特にはたはた) や野菜を煮立てた鍋料理,しょっつる鍋のことをいう。

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事典 日本の地域ブランド・名産品 「しょっつる」の解説

しょっつる[調味料]

東北地方、秋田県の地域ブランド。
秋田県の県魚でもあるハタハタと食塩を混合し長期間発酵させてつくられる調味料。その歴史は江戸時代初期に始まるとされ、日本三大魚醤の一つとされる。しょっつる鍋などに多く用いられている。

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デジタル大辞泉プラス 「しょっつる」の解説

しょっつる

秋田県の名物。塩漬けにしたハタハタをつかった醤油(魚醤)。名称は、塩汁から転じたとされる。

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栄養・生化学辞典 「しょっつる」の解説

しょっつる

 秋田県地方で生産される魚醤油で,ハタハタ,マイワシなどが原料に使われる.

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