クサノオウ(読み)くさのおう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クサノオウ」の意味・わかりやすい解説

クサノオウ
くさのおう / 草黄
[学] Chelidonium majus L. subsp. asiaticum H.Hara
Chelidonium majus L. var. asiaticum Hara

ケシ科(APG分類:ケシ科)の越年草道端などでごく普通にみられる。高さ約60センチメートル。茎、葉柄、葉脈上には白毛が生えている。茎や葉から黄色の汁が出る。クサノオウ(草黄)の名はそのことによる。葉は互生、1~2回の羽状複葉、裂片は鈍頭。5~6月、散形花序を出し、数個の黄色の花を開く。萼片(がくへん)は緑色で2枚、花弁は黄色で4枚。雄しべは多数、雌しべは1本。蒴果(さくか)は細長く、2裂する。漢方では全草を乾かしたものを白屈菜(はっくつさい)と称し、鎮痛、鎮痙(ちんけい)薬として用いられる。北海道から九州、さらに東アジアの温帯域に広く分布する。クサノオウ属は、4枚の花弁、多数の雄しべ、細長い蒴果、乳液をもつ、などの特徴を備え、クサノオウのほかにヤマブキソウがある。ただし、ヤマブキソウはヤマブキソウ属として別の属にされることが多い。

[寺林 進 2020年2月17日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クサノオウ」の意味・わかりやすい解説

クサノオウ(草の王)
クサノオウ
Chelidonium majus var. asiaticum

ケシ科の越年草。東アジアの温帯に分布する。林下路傍に普通にみられる。茎は直立し多数の枝を出し,白い粉をふいたようになっている。茎を切ると黄色い液が出る。葉は羽状に裂け,裏面は白緑色でちぢれた細毛をもつことが多い。5~7月に,黄色い4弁の花を葉腋から出た枝の先端につける。花は数個固まって総状花序をなす。種子は長さ3~4cmの莢の中に多数生じ黒色である。有毒植物であるが,薬用とする。

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