クズネッツ(読み)くずねっつ(英語表記)Simon Smith Kuznets

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クズネッツ」の意味・わかりやすい解説

クズネッツ
くずねっつ
Simon Smith Kuznets
(1901―1985)

アメリカの経済学者。ロシアのハリコフ(現、ウクライナのハルキウ)に生まれ、若くしてアメリカに帰化し、コロンビア大学に学び、1926年に同大学で学位を取得。ペンシルベニア大学(1936~1954)、ジョンズ・ホプキンズ大学(1954~1960)の教授を経て、ハーバード大学経済学部教授(1960~1971)。この間、全国経済調査会(NBER)の主要メンバーとしても活躍した。専攻分野は、国民所得論、景気変動論、経済成長論などであり、とくに国民所得の推計や経済成長の国際比較についての数量的・実証的分析で高く評価されている。また、景気循環についてのクズネッツ循環、平均貯蓄性向の長期安定性、所得分配の平準化傾向などについての経済学的貢献がある。1971年にノーベル経済学賞を受賞。主著には『経済成長――六つの講義Six Lectures on Economic Growth(1959)、『近代経済成長の分析』Modern Economic Growth(1966)などがある。

[藤野次雄]

『塩野谷祐一訳『近代経済成長の分析』全2巻(1968・東洋経済新報社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クズネッツ」の意味・わかりやすい解説

クズネッツ
Kuznets, Simon Smith

[生]1901.4.30. ハリコフ
[没]1985.7.9. マサチューセッツ,ケンブリッジ
ロシア生れのアメリカの経済学者,統計学者。中心的研究分野は国民所得論,景気変動論,経済変動論などで,特に国民所得や経済成長の国際比較に関する理論と統計の世界的権威。コロンビア大学卒業後,1930年ペンシルバニア大学統計学助教授 (1936,教授) ,54年ジョンズ・ホプキンズ,60年ハーバードの各大学教授を歴任し,その間ナショナル・ビューロー・オブ・エコノミック・リサーチ NBERのスタッフとしても活躍し,49年アメリカ統計学会会長,54年アメリカ経済学会会長をつとめ,71年ノーベル経済学賞を受賞した。著書"National Income and its Composition" (41) ,"Postwar Economic Growth,Four Lectures" (64) ,"Modern Economic Growth" (66) ,"Economic Growth of Nations" (71) など多数。

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