改訂新版 世界大百科事典 「クリハラン」の意味・わかりやすい解説
クリハラン
Neocheiropteris ensata(Thunb.)Ching
ウラボシ科の常緑多年生シダ植物。根茎は径3~5mmで長く,岩上や地中をはう。葉は長楕円形から三角状披針形,下部は葉軸に流れ,長さ15~50cm,ほぼ同長の葉柄がある。主側脈は暗色で,はっきり見え,クリの葉に印象が似ているので,この名がある。胞子囊群は,大きな葉では中肋の両側に2~4列不規則にならび,円形もしくは楕円形,時に合体して線形に近づく。包膜はないが,若い時は楯形の鱗片におおわれる。胞子は黄色で,冬に熟す。関東以西の暖帯の谷間や林下に見られるが,温暖多雨地では陽地にも生じる。済州島や台湾,中国に分布している。奇型にツノダシクリハランやハゴロモクリハランがあり,ともに庭植や鉢栽培にして観賞される。Neolepisorus属に分類されることもある。
執筆者:光田 重幸
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報