クリプトメレン鉱(読み)くりぷとめれんこう(その他表記)cryptomelane

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クリプトメレン鉱」の意味・わかりやすい解説

クリプトメレン鉱
くりぷとめれんこう
cryptomelane

二酸化マンガン鉱物の一つ。名称としては単にクリプトメレンでも通用する。単斜相と正方相とがあり、前者カリウムの量が多めで結晶度が高く、後者はカリウムが少なく、結晶度が低く、過剰の水分を含む傾向にある。現在は単斜型・正方型というように区別されており、別種としての取扱いが可能である。層状マンガン鉱床の酸化帯や低温熱水鉱脈中に産するほか、大規模な鉱層を形成する。日本では産地はきわめて多いが、鉱層式のものは存在しない。他の二酸化マンガン鉱物と共存する。原鉱物はマンガンケイ酸塩であることが多い。自形は針状であるが初生のものに限られ、きわめてまれで静岡県下田市万蔵(まんぞう)山から産する。語源ギリシア語で隠れた(結晶形のみえない)黒色を意味する。塊状で金属光沢を呈するものはやや青味を帯びる。

加藤 昭]


クリプトメレン鉱(データノート)
くりぷとめれんこうでーたのーと

クリプトメレン鉱
 英名    cryptomelane
 化学式   K1+X(Mn4+,Mn2+)8O16
 少量成分  Na,Ca,Sr,Ba,Fe,Al,H2O
 結晶系   単斜,正方(これらを別種とする見解もある)
 硬度    6以下
 比重    4.4以下
 色     黒
 光沢    金属あるいは土状
 条痕    黒
 劈開    無
       (「劈開」の項目を参照
 その他   放射性物質を吸収することがある

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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