クレオメネス(読み)くれおめねす(英語表記)Kleomenes Ⅰ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クレオメネス」の意味・わかりやすい解説

クレオメネス(3世)
くれおめねす
Kleomenes Ⅲ
(前260ころ―前219)

スパルタ王(在位前235~前219)。父レオニダスはアギス4世の改革を失敗させたが、彼は新たに改革を志した。対アカイア同盟戦の指揮を任されると、これを利用して反対派を一掃した。スパルタの土地を再分配して市民権喪失者を復権させ、一部ペリオイコイ(スパルタの自由な非市民)や外国人にも市民権を与え、4000の重装歩兵を擁する市民団を再興した(前227)。しかし社会改革の波及を嫌ったアカイア同盟がマケドニアと結んだため、クレオメネスは一部ヘイロタイ(ヘロット隷属農民)を解放し武装させてこれに備えたが、戦闘のすえセルラシアに敗れた(前222)。彼はエジプトに逃れて再起を図ったが、彼の計画はプトレマイオス4世にいれられず、アレクサンドリア蜂起(ほうき)したが、失敗して自害した。

[古山正人]


クレオメネス(1世)
くれおめねす
Kleomenes Ⅰ
(?―前490)

スパルタの王(在位前519ころ~前490)。ペロポネソス同盟の拡大強化を策した。ヒッピアスを倒してアテネ僭主(せんしゅ)政を終わらせた。その後アテネに干渉して寡頭政樹立を試みたが、アテネ市民の強い抵抗や同僚の王ダマラトスの反対で失敗した。しかしアルゴスを破ってスパルタの勢力を伸張した。対ペルシア関係では、遠方のイオニア反乱に直接関与することは避けたが、親ペルシアの動きをみせたアイギナには兵を進めた。彼は政策の主導権を握ろうとダマラトスを不当に廃位したが、これが発覚するとアルカディアで反スパルタ運動を組織した。スパルタ当局はこれを恐れて復位を条件に彼を帰国させたが、彼は気が狂(ふ)れて自殺したといわれる。

[古山正人]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クレオメネス」の意味・わかりやすい解説

クレオメネス[ナウクラティス]
Kleomenēs of Naukratis

前4世紀頃のエジプトの長官アレクサンドロス3世 (大王)により,エジプトの財務官および東部デルタの長官に任命された。

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