オーストリア東部,ニーダーエスタライヒ州の小都市。ウィーンの北西約50km,ワッハウ渓谷の東出口,ドナウ川左岸,クレムス川との合流点に位置する。標高223m,人口2万3000(1991)。主産業は鉄鋼,金属製品,工作機械,じゅうたんなど。昔は鐘やオルガンの製造でも知られ,中世以来のブドウ酒取引は見本市を中心に健在でブドウ酒博物館もある。ドナウ川周遊の観光基地。周辺には肥沃な黄土(レス)地帯を擁し,先史時代の遺跡に富む。2世紀以降ゲルマン系のマルコマンニ族,5世紀にはルギー族が定住。10世紀末からドイツ国王領となり,王城と隣接のホーアーマルクトを核に市場町として発展した。12世紀初め国王領から辺境伯(のち太公)バーベンベルク家の直轄都市となり,商業・交通上,領邦オーストリア第1の要地になったが,世紀後半にはウィーンに席を譲った。対岸のシュタインとは1250年以来共通の都市共同体を形成し,1305年にはともにウィーン都市法を継受,1849年いったん分離するが1939年広域のクレムス市として再統合された。1945-55年にはソ連軍が進駐していた。
執筆者:木村 豊
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オーストリア北東部、ニーダーエスターライヒ州の都市。ウィーンの西約50キロメートル、ドナウ川の左岸に臨む。人口2万3713(2001)。オーストリア最古の都市の一つで、造幣所が置かれていたことにより12世紀まではウィーンより重要な町であった。現在は中世の城塞(じょうさい)などの歴史的遺跡、旧市域の市役所、教会など、ゴシック、バロック様式の古建築物のほか、良質のぶどう酒の生産で知られ、ワイン博物館がある。隔年に州博覧会、民俗祭が開かれ、活気を帯びる。圧延工場が第二次世界大戦後にできたが、工業は町の経済の中心ではない。しばしば、ウィーンにかえてこの州の州都とする案が出された。
[前島郁雄]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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