クレムス(読み)くれむす(英語表記)Krems an der Donau

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クレムス」の意味・わかりやすい解説

クレムス
くれむす
Krems an der Donau

オーストリア北東部、ニーダーエスターライヒ州の都市。ウィーンの西約50キロメートル、ドナウ川左岸に臨む。人口2万3713(2001)。オーストリア最古の都市の一つで、造幣所が置かれていたことにより12世紀まではウィーンより重要な町であった。現在は中世城塞(じょうさい)などの歴史的遺跡、旧市域の市役所、教会など、ゴシックバロック様式の古建築物のほか、良質のぶどう酒の生産で知られ、ワイン博物館がある。隔年に州博覧会、民俗祭が開かれ、活気を帯びる。圧延工場が第二次世界大戦後にできたが、工業は町の経済の中心ではない。しばしば、ウィーンにかえてこの州の州都とする案が出された。

[前島郁雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クレムス」の意味・わかりやすい解説

クレムス
Krems

正式名称はクレムスアンデアドナウ  Krems an der Donau。オーストリア北東部,ニーダーエスターライヒ州にある歴史の古い都市。ウィーンの西北西約 60km,ドナウ川が峡谷からクレムス盆地に出る左岸にある。成立は 995年以前とされ,古代,中世はドナウの水運を利用したワイン取引の中心地であった。現在はドナウ川下りの観光基地。 13世紀の砦,初期バロック様式のザンクト・ファイト聖堂などがある。市立博物館,ワイン博物館は有名。付近はブドウ産地として知られる。金属,化学,繊維工業が立地。人口2万 2829 (1991) 。

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