碁盤の升目のような方形の中に、ヒントによって選んだことば(短文または単語)を縦・横に入れるパズルの一種。文字を入れなくてもよい升目は黒く塗られていて、文字を入れる升目はどこかで縦・横が交差している。したがって、ヒントで考えられることばがいくつかあっても、縦と横が交差している升目に同じ文字が入ることばを選ばなければならない。クロスワード・パズルの発祥は明らかではないが、19世紀中ごろ、欧米の子供向け雑誌に簡単なものが掲載され始めたといわれる。それを成人向きに改案したのはアーサー・ウィンArthur Wynneというイギリス人の記者で、彼はアメリカに移住したのち1913年ごろから『ニューヨーク・ワールド』紙の日曜版に連載したところ、爆発的な人気をよび、たちまち世界中に広がった。1924年に単行本として出版され、30年ごろまでに60集、約75万部が売れたといわれる。アメリカばかりでなくイギリス、カナダなどでも大流行し、一時はクロスワード・パズルが掲載されない新聞、雑誌はほとんど見当たらないほどであった。日本でも第二次世界大戦後流行し、1955年(昭和30)ごろにはブームがおこり、新聞、雑誌が競って新しいくふうを加えて掲載した。90年(平成2)ごろからは、クロスワード・パズルの専門誌も多数出版されている。本来クロスワード・パズルの方形は縦・横それぞれ15升の四角形で、黒く塗られている升目が全体で何かの模様になっているのが基本的なものであるが、現在は模様にとらわれないものが多い。
[倉茂貞助]
『高木茂男著『Play Puzzle――パズルの百科Part3』(1986・平凡社)』▽『滝沢てるお著『クロスワードを作る本――知的レジャーの奥義公開』(1988・広済堂出版)』▽『ニコリ編『クロスワード辞典』(1991・波書房)』
与えられた縦,横の〈カギ〉をヒントにして,碁盤目に引いたます目のうちの空白の個所に言葉を入れていく遊び。基本形は縦横15のます目をもつ四角で,文字を入れない黒塗りの個所が左右対称に配列されたものである。1913年12月21日付の《ニューヨーク・ワールド》紙日曜版に載ったのが最初で,考案者はアーサー・ウィンArthur Wynne。この遊びは古くからある〈ワード・スクエアword square〉(四角連語)から派生したものと考えることができる。これは縦,横どちらに読んでも同じになるように単語を並べる遊びで,
ROME
OPAL ローマのねこ目石を
MAUL エラが壊す
ELLA
はその一例である。24年にクロスワードパズルの最初の本が出版されたのをきっかけにアメリカでブームとなり,イギリス,フランスその他各国に広まった。日本で,日本語による問題が最初に作られたのは1924年といわれている。現在でもアメリカやイギリスでは何種類もの専門誌が出ており,問題を解くための辞典や問題作成のとらの巻まで刊行されている。
執筆者:高木 茂
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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