ロシア特産の清涼飲料で,非常に古くから知られる。ふつうはライ麦あるいは大麦の麦芽を原料とし,これに酵母あるいは発酵させたライ麦パンを加えてつくる。砂糖,ハッカ,蜂蜜,シロップなどを適宜混入して,風味をそえることが多い。こうしてつくられたクワスは炭酸や乳酸のほか,ごく微量のアルコールを含み,色は茶褐色を呈する。変種として,麦芽の代りにリンゴやナシなどの果実や漿果類を原料とするものがある。いずれにしても製法が比較的簡単であるので,ロシアでは家庭でもつくられるが,近年都会では専門の工場で大量に生産され,夏になるとクワス専用のタンク車が随所に見かけられるようになった。十分冷やしたものをそのまま飲用するばかりでなく,オクローシカと呼ばれる冷やしスープのベースとしてもしばしば用いられる。缶詰が外国へ輸出されている。
執筆者:中村 喜和
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…古くからロシア人の食べ物として知られたのは,ライ麦からつくる黒パン,各種の穀物の粥(カーシャ),デンプンを用いるゼリー状のキセーリなどで,これらは12世紀以降の年代記などにあらわれる。飲物としては麦芽を発酵させてつくるクワス,蜜酒,ビールが愛好され,ややおくれてウォッカがこれに加わった。各種の獣肉,鳥,魚も早くから食されたが,チョウザメの卵であるキャビアが本格的にロシア料理に取り入れられたのは,16世紀後半にカスピ海に注ぐボルガ川の下流がロシアの領土に組み入れられてからである。…
※「クワス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...