グラネ(読み)ぐらね(英語表記)Marcel Granet

日本大百科全書(ニッポニカ) 「グラネ」の意味・わかりやすい解説

グラネ
ぐらね
Marcel Granet
(1884―1940)

フランスの中国学者。デュルケーム派の社会学者にして、その社会学を古代中国社会研究に応用した。中国学をシャバンヌに学び、中国に留学したのち、東洋語学校、ついでパリ大学の教授として斬新(ざんしん)な体系を展開し、若手研究者の間に人気があった。『支那(しな)古代の祭礼歌謡』『支那人宗教』『古代シナの舞踊と伝説』『シナ文明』『シナ思想』などの著書により、古代中国の農村社会における集団婚の存在、母系社会より父系社会への変革などを説き、いずれも独創的な見解である。しかし、その研究はもっぱら翻訳に頼るため、漢文原典に対する吟味が不十分であり、理論のみが独走するという批判が一方にある。

宮崎市定

『内田智雄訳『支那古代の祭礼と歌謡』(1938・弘文堂)』『津田逸夫訳『支那人の宗教』(1943・河出書房)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グラネ」の意味・わかりやすい解説

グラネ
Granet, François Marius

[生]1775.12.17. エクサンプロバンス
[没]1848.11.21. エクサンプロバンス
フランスの画家印象主義先駆者の一人。 J.ダビッド弟子。 1802年ローマに行き 17年間滞在。このとき描いた『バルベリーニの広場のカプシン僧の合唱』 (リヨン美術館) を 19年パリに帰ってサロンに出品し,当時の画壇に大きな波紋を投げた。後年ベルサイユの歴史館館長。主要作品としてほかに『クリプタでの聖餐』 (プティ・パレ美術館) がある。

グラネ
Granet, Paul Marcel

[生]1884.2.29. ドゥローム
[没]1940.11.25. パリ
フランスの中国学者。中国に留学後,1925年パリ東洋語学校教授,続いてパリ大学教授となる。中国古代の宗教,社会の研究に新分野を開いた。著書『古代中国の祭祀と歌謡』"Fêtes et chansons anciennes de la Chine" (1919) ,"Danses et légendes de la Chine ancienne" (26) ,"La Civilisation chinoise" (29) 。

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