グロッス(読み)ぐろっす(英語表記)George Grosz

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グロッス」の意味・わかりやすい解説

グロッス
Grosz, George

[生]1893.7.26. ベルリン
[没]1959.7.6. ベルリン
ドイツ生れのアメリカ国籍の画家版画家。ドレスデン美術学校,ベルリンの工芸学校に学び,短期間パリに滞在。第1次世界大戦に従軍戦後ドイツの混乱に直面して,暗いユーモアを含む作品を制作。 1918年に始るベルリン・ダダの中心的存在で,鋭い社会風刺の作品を次々に発表。 1920年代中頃には O.ディックス,M.ベックマンらと力強い写実的手法を採用し,新即物主義 (ノイエ・ザハリヒカイト ) の立場に立つ。 32年に亡命してニューヨークに住み,30年代末の一時期,ニューイングランド風景に裸体を配した作品を描いたが,第2次世界大戦勃発とともに再び社会的関心の強い風刺的リアリズムに向った。 38年アメリカ国籍を得,59年ベルリンに帰って3週間後に没した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「グロッス」の意味・わかりやすい解説

グロッス
ぐろっす
George Grosz
(1893―1959)

ドイツ生まれのアメリカの画家。ベルリンに生まれ、ドレスデンとベルリンの美術学校に学んだ。早くから風刺雑誌に作品を発表し、鋭い現実批判の目で第一次世界大戦中および戦後の社会状況をデッサン、版画、写真モンタージュなどの手法を駆使して告発する。1917年ベルリン・ダダに参加して思想的にはマルキシズムに歩み寄り、25年新即物主義に接近してリアリズムの傾向を強める。32年アート・ステューデンツ・リーグに招かれてアメリカに渡り、37年市民権を取得、晩年までニューヨークで活躍し、ベルリンで死去した。55年自伝『小さなイエスと大きなノー』を発表。

[野村太郎]

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