ケルン大聖堂(読み)ケルンだいせいどう(英語表記)Kölner Dom

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ケルン大聖堂」の意味・わかりやすい解説

ケルン大聖堂
ケルンだいせいどう
Kölner Dom

ドイツ・ゴシック建築で最大の聖堂ケルンにあるザンクト・ペテル大聖堂のこと。 1248年大司教の命でゲルハルト親方 (フランス人ジェラール・ド・リールといわれる) が起工。ゲルハルトはフランスのアミアン大聖堂の建築に従事した経験があり,ケルン大聖堂の建築様式も全体にフランスの影響を受けている。内陣は 1320年完成,1322年献堂。アーケードトリフォリウム,クリアストーリーからなる構成で,ステンドグラスは 14世紀初めから 16世紀まで,翼廊は 1322年から 15世紀末まで完成に時間がかかった。 1560年工事は中断され,1842年ときのバイエルン国王の命で再開された。 1880年ようやく5廊形式の内部と小尖塔が増築された。双塔の高さは 157mに達し,内部は全長 146m,幅 61m,高さ 43.6m。聖堂内の宝庫には 1164年ローマから持参のマギ遺物を納めた黄金厨子,マテルヌス祭室にはロヒナーの『マギの礼拝』を含む三つ折り祭壇画 (15世紀前半) がある。またキリストやマリア,使徒たちの彫像 (14世紀初頭) はドイツ・ゴシックの傑作。 1996年世界遺産文化遺産に登録。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ケルン大聖堂」の意味・わかりやすい解説

ケルン大聖堂
けるんだいせいどう
Kölner Dom

ドイツ、ケルン市にある北ヨーロッパ最大のゴシック式聖堂。1248年に起工され、1322年に完成、献堂されたが、その後も翼廊、身廊などの増改築が行われたため、創建時と様式を異にする部分が少なくない。この聖堂のプランは五廊式で、身廊と二重側廊の幅は同じであり、そして西側正面に巨大な双塔が建っている。入口のある翼廊はアミアン大聖堂のそれよりベイ(柱間)1区画だけ余分に張り出しているほかは、この聖堂の東側半分はプランも寸法もアミアンを踏襲しており、したがってアプス(後陣)には周歩廊と放射状礼拝堂群が配されている。

 最終的な工事は1880年に完了するが、工期断続に基因する建築上の欠点も種々指摘されてきている。たとえば、身廊の長さと幅の比例が不的確であり、身廊と側廊の穹窿(きゅうりゅう)の高さが不つり合いであるとか、基底部は力感に富む構成をみせるのに、西側正面の双塔は、上部がレース状細部の繰り返しに終わり、この聖堂の主要部分を矮小(わいしょう)化する結果となっている点などである。建築各部の配置や調整において、ドイツの建築家はまだフランス・ゴシックの建築家に及ばなかったといえる。なお、この聖堂は1996年に世界遺産の文化遺産として登録されている(世界文化遺産)。

[濱谷勝也]

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