日本大百科全書(ニッポニカ) 「ケンドラー」の意味・わかりやすい解説
ケンドラー
けんどらー
Johann Joachim Kändler
(1706―1775)
ドイツの陶工。ザクセンのフィッシュバッハ生まれ。1733年にマイセン窯に招かれ、以後、死に至るまで同窯の原型製作者(モデルマイスター)として活躍、マイセンの名声を高めるのに大きく貢献した。とくに、スワン・サービスとよばれる白地に多彩を施した豪華なディナー・セット、またイタリア喜劇の登場人物をモチーフとした磁器の小像群は、当時のロココ趣味を反映した秀作で、近世の陶磁史に大きな影響を与えた。ザクセン侯アウグスト3世の計画した「日本宮殿」のために多くの等身大の動物像も手がけたが、オリジナルの状態では現存していない。また同王の巨大な磁製騎馬像も、長い年月を費やしながら未完に終わった。
[友部 直]