日本大百科全書(ニッポニカ) 「コーラノキ」の意味・わかりやすい解説
コーラノキ
こーらのき
kola
[学] Cola nitida A.Chev.
アオギリ科(APG分類:アオイ科)の常緑高木。熱帯西アフリカ原産で、種子(コーラ・ナッツ)は清涼飲料の原料とされる。高さ8~15メートル、葉は長卵形、革質で長さ約12センチメートル。不規則な円錐(えんすい)花序を出して、多数の花をつける。花は直径1.5センチメートルで花弁はないが、黄色に紫色の線のある5枚の萼片(がくへん)が美しく、一年中咲いている。果実は8~10センチメートルの長楕円(ちょうだえん)形で、果柄に放射状に4~5個つき、茶褐色に熟す。開花後7~8か月目に熟し、中には径1.5センチメートルほどの扁球(へんきゅう)形の種子が5~9個ある。種子は赤または白色で、心臓の興奮作用のあるコラニン(2~2.5%)、苦味成分のデオブロミン(0.02%)を含む。生(なま)で噛(か)むと興奮と活気を覚えるので、古くからアフリカ人が嗜好(しこう)料に用いた。乾燥した種子を粉にして水に溶かして飲料とする。主として西アフリカ諸国で栽培され、主産国ナイジェリアでは年産14万トンと推定される(2017)。また、近年、ブラジルで栽培が始められている。
近縁のヒメコーラC. acuminata Schott et Endl.もコーラノキと同様に利用する。
[星川清親 2020年4月17日]
褐色の種子から抽出したエキスは、コーヒーと同じカフェインと、コラニン色素が含まれている。コラニンは酵素酸化によりコーラ飲料の赤褐色のコラニンレッドとなる。コーラ飲料の原料の一つである。
[齋藤 浩 2020年4月17日]