ペラグラ(読み)ぺらぐら(英語表記)pellagra

翻訳|pellagra

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ペラグラ」の意味・わかりやすい解説

ペラグラ
ぺらぐら
pellagra

ニコチン酸アミド欠乏によっておこる疾患。ニコチン酸アミドは体内でトリプトファンから生ずるので、トリプトファンの欠乏によってもおこる。下痢、皮膚炎、認知症を主徴とする。トウモロコシを主食とする人たちにおこり、アメリカの南部で多数発生した。その後、食事内容の改善により、いまではまれになったが、エジプト、インド、南アメリカなどでは、なお発生をみている。初めは食欲不振、衰弱、下痢、便秘口腔(こうくう)の灼熱(しゃくねつ)感などがあり、ついで皮膚の日焼けのような潮紅、かゆみ、水疱(すいほう)などが生じ、舌炎もみられ、舌が真紅色、平滑となる。めまい、頭痛、幻覚、記憶力低下、異常知覚、振戦(ふるえ)などの神経症状もみられる。しばしばビタミンB1、B2、B12などの欠乏が合併する。

 なお、青森県津軽地方に古くからみられた風土病で、進行すると精神障害をおこすところから恐れられたシビ‐ガッチャキ病は、ニコチン酸アミドとビタミンB2の欠乏が合併したものとされる。

[高橋善弥太]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ペラグラ」の意味・わかりやすい解説

ペラグラ
pellagra

ビタミンB群,特にニコチン酸の欠乏症。アルコール中毒性肝障害などの肝疾患は本症の誘因となる。以下の症状がみられる。 (1) 皮膚症状 光線過敏症で,日光曝射部に一致して紅斑,水疱,特有な濃褐色の色素沈着が生じる。のちに皮膚の乾燥,萎縮が起きる。 (2) 消化器症状 下痢,腹痛,食欲不振,嘔吐,口渇,舌炎など。 (3) 精神神経症状 けいれん,運動障害,幻覚,躁うつ状態,痴呆状態など。ペラグラはニコチン酸の大量投与,新鮮な野菜の摂取,高蛋白食摂取などの食生活の改善によって容易に軽快する。

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