ゴンパーズ(その他表記)Samuel Gompers

デジタル大辞泉 「ゴンパーズ」の意味・読み・例文・類語

ゴンパーズ(Samuel Gompers)

[1850~1924]米国の労働運動指導者。英国生まれ。米国に移民後、1886年、米国労働総同盟(AFL)を結成して初代会長となる。階級協調主義・職能別組合主義を主張した。

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改訂新版 世界大百科事典 「ゴンパーズ」の意味・わかりやすい解説

ゴンパーズ
Samuel Gompers
生没年:1850-1924

アメリカの労働運動指導者。ロンドンイーストエンドで貧しいユダヤ人労働者の家庭に生まれ,1863年家族とともにアメリカに移住し,ニューヨークで葉巻工となる。葉巻工組合の指導者(1874-81)をへて,86年に正式に発足したアメリカ労働総同盟(AFL)の会長に就任し,没年まで在任。AFLの形成・発展に尽くし,“アメリカ労働運動の父”ともいうべき人である。AFLの運動路線はゴンパーシズムGompersismと呼ばれるほどで,彼が果たした役割は大きい。ゴンパーシズムの特徴は,労働者の経済的地位の向上は,社会主義,共産主義,無政府主義によってではなく,労働組合主義トレード・ユニオニズム)によってのみ達成される,とする点にある。その後1930年代ならびに60年代に,急進主義からの挑戦を受けたが,ゴンパーシズムは,なお基本的に現代のアメリカ労働運動に受け継がれている。
AFL-CIO
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゴンパーズ」の意味・わかりやすい解説

ゴンパーズ
ごんぱーず
Samuel Gompers
(1850―1924)

アメリカの労働運動指導者。オランダ系ユダヤ人の子としてロンドンの貧民街に生まれ、1863年に一家で移民した。葉巻作りの労働者となり、その組合に参加して社会主義思想に触れたが、資本主義体制内で労働者の経済的地位改善という考えに傾いていった。81年より全国的な組合連合体結成に努め、5年後AFL(アメリカ労働総同盟)を発足させ、その会長職を1年を除き死ぬまで務めた。彼の立場は、熟練工中心の職能別組合を推進し、団体交渉によって経営者から条件改善を獲得する一方、政府の介入を避け、無党派主義で既成政党内の親労働者勢力に頼ろうとし、左翼政党を拒否する「任意主義」の「純粋かつ単純」な「ビジネス組合主義」であった。これは、CIO(産業別組合会議)の成立までアメリカ労働運動の代表的な考え方であり、相当な成果をあげたものの、連合体内の加盟組合自治尊重から、人種差別や組合内腐敗を黙認するものでもあった。

[長沼秀世]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゴンパーズ」の意味・わかりやすい解説

ゴンパーズ
Gompers, Samuel

[生]1850.1.27. ロンドン
[没]1924.12.13. テキサス,サンアントニオ
アメリカの労働運動指導者。 1863年イギリスからニューヨークに渡り,家業のたばこ商に従事。 77年たばこ製造労働者組合の再結成に参加。 81年労働組合同盟 FOTLUの組織委員長。 86年アメリカ労働総同盟 AFLの組織化に際し初代議長となり,86~1924年 (1895年を除く) 在任。第1次世界大戦にアメリカが参戦した 17年に T.W.ウィルソン大統領により国防会議の委員に任命され,19年にはパリ講和会議の国際労働法制委員会に参加した。思想的には保守派に属し,労働者のエネルギーが経済問題以外に向うことを恐れた。労働組合とはラディカリズムに対する防壁であるという考えをもち,戦争には積極的に協力した。

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百科事典マイペディア 「ゴンパーズ」の意味・わかりやすい解説

ゴンパーズ

米国の労働運動指導者。ロンドン生れ。13歳で渡米,ニューヨークで葉巻工となる。1886年AFLを創立,以後死ぬまで(1895年を除く)その会長であった。労資協調・職業別組合・経済闘争主義などの彼の主張は,ゴンパーシズムと呼ばれた。
→関連項目グリーン

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ゴンパーズ」の解説

ゴンパーズ
Samuel Gompers

1850~1924

アメリカの労働運動指導者。イギリス出身。1863年渡米,労働運動で活躍し,86年アメリカ労働総同盟(AFL)を結成,生涯会長を務める。熟練労働者を構成員とする職能別組合と労資協調主義の立場に立ち,経済闘争を重視した。

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旺文社世界史事典 三訂版 「ゴンパーズ」の解説

ゴンパーズ
Samuel Gompers

1850〜1924
アメリカの労働運動指導者
イギリスから移住し,ニューヨークの葉巻工場に勤めて労働組合(職能別全国組合)の結成につとめ,1886年アメリカ労働総同盟(AFL)の初代会長となった。労資協調を主張した。

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世界大百科事典(旧版)内のゴンパーズの言及

【AFL‐CIO】より

…ナイツの勢力は,1880年代後半に衰退し,20世紀に入るとAFLは,組織人員の急増を背景に,アメリカ労働運動の主導権を掌握した。86年以来,葉巻工組合出身のユダヤ人S.ゴンパーズがAFLの会長となり,ゴンパーシズムと呼ばれる穏健な職業別組合主義(ビジネス・ユニオニズム)の線に沿って,AFLは大きく発展した。組織人員でみると,1900年に54万8000人であったのが,14年には202万人へと急増したのである。…

※「ゴンパーズ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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