国防に関する重要事項を審議・調整するため、1956年(昭和31)7月から86年6月まで、内閣に置かれていた総理大臣の諮問機関。1986年、安全保障会議の発足に伴って廃止された。総理大臣は「国防の基本方針」「防衛計画の大綱」「防衛計画に関連する産業等の調整計画の大綱」「防衛出動の可否」「その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項」については国防会議に諮らねばならないとされた。議長たる内閣総理大臣のほか、副総理、外務大臣、大蔵大臣、防衛庁長官、経済企画庁長官が「国防会議の構成等に関する法律」で議員と定められていたが、1972年の決定により、通産大臣、科学技術庁長官、内閣官房長官、国家公安委員長も議員とされた(大臣等の名称は当時のもの)。「国防の基本方針」(1957)のほか、第一次~第四次の防衛力整備計画、戦闘機・対潜哨戒機(しょうかいき)の選定、「防衛計画の大綱」(1976)、「中期防衛力整備計画」(1985)など、主として自衛隊の買い物計画を中心に審議・決定を行ってきた。
[吉池公史]
文民統制を確保し,国防に関する諸方策の総合調整を図るよう,国防に関する重要事項を審議するために内閣に設置された機関。1954年防衛庁設置法により設立,56年〈国防会議の構成等に関する法律〉の成立をまって発足。総理大臣を議長とし,議員はいわゆる副総理,外務大臣,大蔵大臣,防衛庁長官,経済企画庁長官からなる。このほか関係の国務大臣として,内閣官房長官,通商産業大臣,科学技術庁長官が常時出席している。国防の基本方針,防衛計画の大綱,防衛計画に関連する産業などの調整計画の大綱,防衛出動の可否などについては国防会議にはからなければならないとされている。先進民主主義国家においては,国防会議と類似の組織を有する例が多く,アメリカでは国家安全保障会議がこれに相当する。文民統制の観点から,これらの国々においても軍人はメンバーに含まれないのが通例である。
執筆者:斎藤 康一
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国防に関する重要事項について審議するため内閣に設けられた機関。1954年(昭和29)防衛庁設置法に国防会議の設置が規定され,56年7月2日公布の国防会議の構成等に関する法律により発足。内閣総理大臣を議長,副総理・外務大臣・大蔵大臣・防衛庁長官・経済企画庁長官を議員とし,必要により関係国務大臣,統合幕僚会議議長などの出席が許され(のち内閣官房長官・通商産業大臣・科学技術庁長官が常時出席),内閣総理大臣は(1)国防の基本方針,(2)防衛計画の大綱,(3)防衛計画に関連する産業などの調整計画の大綱,(4)防衛出動の可否,(5)その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項について,国防会議に諮らなければならないことになった。86年安全保障会議に改組。2013年(平成25)国家安全保障会議設置法が成立し,国家安全保障会議に再編された。
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…国防に関する重要事項,および重大緊急事態への対処に関する重要事項を審議するために内閣に設置された機関。前身は,1954年防衛庁設置法により設立,56年〈国防会議の構成等に関する法律〉の成立をまって発足した国防会議。86年に改称・再編成された。…
…中隊以上に設けられる政治部は党中央委員会直属であった。宣戦布告や動員,軍の最高統帥部人事は大統領の権限であり,大統領が発案して国防会議が具体的決定を行った。これは同時に軍需関係の省への指導も行ったが,閣僚会議にも軍事工業小委員会があった。…
※「国防会議」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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