熱陰極(読み)ネツインキョク

関連語 名詞

化学辞典 第2版 「熱陰極」の解説

熱陰極
ネツインキョク
hot cathode

電子管では陰極から電子を放出するが,この場合,陰極を加熱して電子を放出するものを熱陰極という.すなわち,熱陰極では熱エネルギーによって電子が金属から放出される.これに対して加熱しないで電子放出をする陰極を冷陰極という.熱陰極は表面処理がほどこされると熱電子が出やすくなるので,実際にはこのような処理をしたものが用いられる.放出される電流密度は,リチャードソンの式,

に従う.ここで,Jは電流密度(A cm-2),Tは絶対温度,kはボルツマン定数,φは陰極金属の仕事関数である.熱電子放出の大小,つまり電流密度は上式でφに大きく依存する.陰極金属の上にアルカリ金属,アルカリ土類金属,あるいはThやZrなどの単原子層を吸着させると,その層の電気双極子作用によってφが減少し,たとえば,代表的な単原子被覆陰極であるタングステンの上にトリウムを被覆したトリウム-タングステン陰極は,タングステンのφが4.5 eV,Thのφが3.4 eV であるのに対し,2.6~2.9 eV の値をもつ.また,陰極金属の上にBaOやSrOなどの酸化物の固溶体を被覆した酸化物陰極も用いられ,容易に熱電子が放出される.そのほかにもトリア陰極などがある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

百科事典マイペディア 「熱陰極」の意味・わかりやすい解説

熱陰極【ねついんきょく】

電子管で熱電子を放出する陰極。タングステンまたはトリウム入りタングステンのフィラメントを陰極としてこれに直流電流を通じて加熱する直熱型と,バリウム,ストロンチウム等の酸化物をタングステン線で間接に加熱する傍熱型がある。
→関連項目陰極|蛍光灯|サイラトロン|自由電子|熱電子|フィラメント

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「熱陰極」の意味・わかりやすい解説

熱陰極
ねついんきょく
hot cathode

熱電子放出の作用をもつ陰極。普通の真空管のほか,熱陰極放電管,電子顕微鏡などに用いられる。線状のタングステンとかトリウムタングステンに直接電流を流して加熱する直熱型陰極と,酸化物を塗った円筒形のニッケル電極の中に加熱用のヒータを入れた傍熱型陰極とがある。傍熱型はテレビジョンのブラウン管などのように加熱に若干の時間を要する。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

ノーベルがスウェーデンアカデミーに寄付した遺産を基金とする世界的な賞。1901年以降行われ、毎年、物理学・化学・生理学および医学・文学・平和・経済学の6部門において、顕著な功績のあった人に授与される。...

ノーベル賞の用語解説を読む