改訂新版 世界大百科事典 「サウアー」の意味・わかりやすい解説
サウアー
Carl Ortwin Sauer
生没年:1889-1975
アメリカの地理学者。少年時代はドイツで教育を受け,シカゴ大学で地理学を研究し,再びドイツに留学。帰国して1923年からカリフォルニア大学(バークリー校)教授となった。それまでアメリカの地理学界をリードしていたシカゴ大学の都市地理学派やクラーク大学の経済地理学派中心の活動に対して,文化地理を中心とした環境論的な傾向をカリフォルニア大学の地理学の特色とし,地理学界に重きをなすまでに高めたことで知られる。《景観の形態》はそれを示す代表的なもので,さらに研究は先史時代の人類,考古学,地質学にも及び,家畜や作物の移動と伝播,あるいは両者の新・旧世界の古い時代の交流の研究は《農業の起源と伝播》(1952)に集大成された。中南米研究にも強い関心を示し,同大学にイベロ・アメリカ研究所を設けた。退官記念論文集《土地と生活》(1965)は彼の考え方をよく示した名著として知られている。
執筆者:金崎 肇
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報