アフリカ大陸のサハラ砂漠以南の地域のこと。アフリカ全体の54か国のうち、エジプトやリビアなどの北アフリカ5か国を除く、49か国が属している。サブサハラともよばれる。面積は、全世界の約18%にあたる2424万平方キロメートル。世界人口白書(2012)などによると、人種はネグロイド(黒人)がほとんどで、地域の人口はアフリカ全体の8割以上を占め、約8.6億人に達する。2050年には世界人口の2割を占める約20億人にまで急増すると予測されている。北アフリカの多くの国がアラビア語をほぼ共通語としているのに対し、この地域では単一の共通言語が存在せず、多数の小規模な民族言語が話される多言語社会を構成している。
1990年代までは内戦が絶えず、不安定な政情の国々が多かったが、2008年のリーマン・ショック以降はもっとも経済の回復が進んでいる新興地域といえ、2012年の実質経済成長率は5.8%に達するとみられている(日本総研資料による)。この経済成長の牽引(けんいん)役は南アフリカ、ナイジェリア、アンゴラの3か国で、原動力となっているのは石油や天然ガス、レアメタルをはじめとする豊富な地下資源開発を背景にした海外からの投資である。高い経済成長が今後も継続するとみられることから、大半の国で未発達の消費市場が急速に立ち上がる見通しである。消費面でも「最後の巨大市場」と期待を込めてよばれている。
その反面、世界最大の食料援助受け取り地域であり、人口に占める栄養不良の割合も3割を超えて世界一の高さである。農耕に適した肥沃(ひよく)な土地も広大にあるが、政治の腐敗や海外の投資を優先してきた結果、農業や医療、教育といった、国の基盤となる分野の充実が遅れることとなった。世界から注目を集めながらも、歴史が残した負の遺産が現代に色濃く影を落としている地域といえる。
[編集部]
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