改訂新版 世界大百科事典 「サントトマス大学」の意味・わかりやすい解説
サント・トマス大学 (サントトマスだいがく)
University of Santo Tomás
1611年にドミニコ会がフィリピンのマニラに創立したアジアで最古の大学の一つ。初めロサリオの聖母カレッジと呼ばれたが,のちにサント・トマス・カレッジと改名され,ついで45年に教皇インノケンティウス10世によって大学(ユニバーシティ)に格上げされた。フィリピンではこれより早く,1589年にイエズス会が創立したサン・イグナシオ・カレッジがあり,1621年に大学に格上げされたが,1768年にイエズス会がフィリピンから追放された際,閉鎖された。19世紀中ごろまではスペイン人植民者の子弟のみを受け入れたが,やがて現地人にも門戸を開くようになった。その中からJ.リサールなどの民族主義者が誕生したのは歴史の皮肉である。教会法,民事法,医学,文学,哲学などの学部を擁する。
執筆者:池端 雪浦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報