さんばい

精選版 日本国語大辞典 「さんばい」の意味・読み・例文・類語

さんばい

〘名〙 (「さばき(捌)」の変化した「さばい」がさらに変化したものという) 取り扱い。処置
※天理本狂言・木六駄(室町末‐近世初)「是はいかな事、木六駄と、炭六駄は、十二駄で御ざる、十二疋の牛が、私一人で、さんばいがなる物で御ざるかと云」

さん‐ばい

〘名〙 田植えにまつる田の神の名。三杯三拝、三把、三祓などと表記される。
歌謡田植草紙(16C中‐後)酒来時之哥「三ばいに御酒まいらせうやよひさけ〈略〉三はいの御酒をまいるはながゑのてふし三つとや」

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改訂新版 世界大百科事典 「さんばい」の意味・わかりやすい解説

さんばい

田の神の異称。中国,四国地方や佐渡島で主に使われ,オサバイサンボウなどともいう。サンバイの〈さ〉は〈さなえ〉〈さおとめ〉〈さつき〉などの〈さ〉と同系の語で,田植ないし田の神を意味する言葉とされているが,サンバイの語源についての定説はない。中国地方の田植歌では,サンバイは正月には年神,3月には田の神,7月には七夕様になるとか,稲霊である稲鶴姫の婿だと歌われている。実際には,田植の始めと終りに祭られることが多く,サンバイの送迎と結びついている。田植始めのサビラキには,サンバイオロシといって,田の神を招き降ろして,一定の水田を祭場として苗をかたちばかり植えたり,水口に土を盛って栗の枝と一緒に3把の苗を供えて祭る。また田植が終わるとサンバイアゲを行い,サンバイを昇天させる。しかし一方では,水口のフナメダカをサンバイの使い,イナゴを稲霊の化身として田植の後にとるのを禁ずる習俗もみられた。
田の神
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日本の郷土料理がわかる辞典 「さんばい」の解説

さんばい


広島県芸北地方の郷土料理で、炊きたての飯に、ゆでた黒豆やえんどう豆などと塩を混ぜて大きめのにぎり飯を作り、朴葉(ほおば)で包んだもの。さんばいとは田の神の意で、田植えの後に行われる豊穣を願う行事の際に参加者に配られた。

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普及版 字通 「さんばい」の読み・字形・画数・意味

【蚕】さんばい

いちご。

字通「蚕」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内のさんばいの言及

【田植歌】より

…田植の作業に歌われる労作歌。実際の田植のほか,田遊(たあそび)や御田植神事,囃子田(はやしだ),田植踊などで歌われる。かつて田植作業は単なる労働だけでなく,大事な神事儀礼的な民俗行事でもあったから,かならず歌を伴っていた。たとえばそれは現在も広島県や島根県の山間部で行われる〈囃子田〉にみることができる。囃子田では,田植のリーダーでもあり,田の神とも思われるサンバイと称する音頭取りを中心に,田植歌が歌われる。…

※「さんばい」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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