シアン・カアン(読み)シアンカアン

百科事典マイペディア 「シアン・カアン」の意味・わかりやすい解説

シアン・カアン

メキシコ南東部ユカタン半島キンタナロー州にある自然保護区。シアン・カアンとは古代マヤ人の言葉で〈天空の生まれた所〉を意味する。総面積は約5300km2熱帯雨林,砂漠,サンゴ礁ラグーンなどの様々な自然環境が見られ,植物1200種以上,鳥類300種以上,哺乳類100種以上が確認されている。おもな動植物マホガニーコパルアメリカグンカンドリオオフラミンゴペッカリーベアードバク,アメリカマナティーなど。5〜10月が雨季にあたり約75%が水につかる。保護区内にはマヤ文明の遺跡や,マヤ人が〈聖なる泉〉としてあがめ,儀式などで使われたセノーテと呼ばれる石灰岩の陥没穴に地下水が溜まった天然の泉が多数存在する。近年,北に隣接するカンクン周辺が観光地として急激に開発が進み,海水汚染などの自然破壊が問題になっている。1987年世界自然遺産に登録。

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世界遺産詳解 「シアン・カアン」の解説

シアンカアン【シアン-カアン】

1987年に登録されたメキシコの世界遺産(自然遺産)で、ユカタン半島のカリブ海沿岸に広がる自然保護区。総面積は約5300km2で、珊瑚礁潟湖(せきこ)、熱帯雨林などからなり、多様な自然環境と生態系が見られる。保護区内では、植物約1200種と哺乳類103種が確認されている。全体の約3割を占める熱帯雨林には、ネコ科のオセロットイノシシに似たペッカリー、体長2m、体重300kgに及ぶ哺乳類ベアードバクなどが生息する。海域には、翼を広げると2m以上のアメリカグンカンドリをはじめカワウやペリカンなどが見られる。潟湖には、体重400kgを超えるアメリカマナティーウミガメなどが暮らす。シアン・カアンは、マヤの言葉で「天空の生まれた場所」を意味する。かつてはこの地域一帯にマヤの人々の集落が存在したが、今は、その末裔約800人がヤシで造った家に暮らすだけである。このような多様な自然環境と貴重な生態系が評価され、世界遺産に登録された。◇英名はSian Ka'an

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シアン・カアン」の意味・わかりやすい解説

シアン・カアン
Sian Ka'an

メキシコのユカタン半島東部,キンタナロー州のアセンシオン湾とエスピリトゥサント湾を囲む自然保護区。面積 5280km2。熱帯雨林,熱帯草原,沼沢地,マングローブ林などに分かれる保護区内は,かつてはマヤ文明が栄えた場所でトゥルム遺跡も残る。少数のマヤ系先住民が暮らしているほか,動植物の宝庫で,海岸地帯のラグーンや全長 110kmに及ぶサンゴ礁にはウミガメ,マナティなども生息している。しかし近隣の観光化,農地開拓などで危機にさらされている動植物も少なくない。 1986年自然保護区に指定され,1987年世界遺産の自然遺産に登録。

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