シャルドンヌ(読み)しゃるどんぬ(英語表記)Jacques Chardonne

デジタル大辞泉 「シャルドンヌ」の意味・読み・例文・類語

シャルドンヌ(Jacques Chardonne)

[1884~1968]フランス小説家夫婦愛問題を追求した。作「祝婚歌」「エバ」「感情的宿命」など。

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精選版 日本国語大辞典 「シャルドンヌ」の意味・読み・例文・類語

シャルドンヌ

  1. ( Jacques Chardonne ジャック━ ) フランスの小説家。心理的分析により、夫婦間愛情テーマとして扱った。主な作品に「祝婚歌」「感情的運命」「ロマネスク」など。(一八八四‐一九六八

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シャルドンヌ」の意味・わかりやすい解説

シャルドンヌ
しゃるどんぬ
Jacques Chardonne
(1884―1968)

フランスの小説家。本名ジャック・ブーテロー。西仏シャラント県バルブジューの富裕なコニャック醸造業者の家に生まれる。文芸出版のストック社を共同経営していたが、熱烈に愛し合う夫婦アルベールとベルトの間の感情の微妙な交錯を分析した『祝婚歌』(1921)で一躍名声を得た。『幸せなる者の歌』(1927)では離婚、『バレー一家』(1929)では相続、『エバ』(1930)では恋の幻影と肉体的行き違い、『クレール』(1931)では死を契機として男女間に揺曳(ようえい)する感情の機微を、ほとんど科学的な正確さで解剖しているが、繊細な文体、巧まざる流麗な語りで、モラリスト的な中庸さと相まって多くの読者を獲得した。『感情的宿命』(1934~36)3巻で、ある陶器製造業の一家の運命をたどる社会小説を試みたが、『ロマネスク』(1938)で得意の夫婦小説に戻った。第二次世界大戦直前、かなり熱烈な国家社会主義的発言をしたことがたたり、戦後は評判を落としたが、ロジェ・ニミエらの新右派の作家たちからは敬愛された。小説のほかに『隣人愛』(1932)、『バルブジューの幸福』(1935)、『愛をめぐる随想』(1927)などの優れたエッセイ集もある。

[平岡篤頼]

『佐藤朔訳『結婚』(新潮文庫)』『神西清訳『愛をめぐる随想』(新潮文庫)』

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改訂新版 世界大百科事典 「シャルドンヌ」の意味・わかりやすい解説

シャルドンヌ
Jacques Chardonne
生没年:1884-1968

フランスの小説家。本名ジャック・ブーテローJacques Boutelleau。シャラント県の富裕な家庭に育ち,パリで法学士となり,出版社ストックの経営陣に加わる。1921年に《祝婚歌》(フェミナ賞受賞)を発表して文壇に登場するが,これは夫婦間の愛情の機微を描いた心理小説であった。彼自身の結婚→幸福な家庭生活→離婚の体験を基にするこの作品が,以後の小説の主調となった。モラリスト風の箴言を巧みに織り交ぜたその〈夫婦小説〉は,明晰で沈着な文体によって幅広い読者を獲得した。1931年の《クレール》(アカデミー・フランセーズ小説大賞受賞)につづいて,《感情的宿命》三部作(1934-36)を発表するが,後者は夫婦間のドラマの領域を超えて,家族全体から社会の仕組みにまで構想の枠がひろがっている。その他,《ロマネスク》(1938),《空想家たち》(1948)等の作品がある。第2次大戦後は,対独協力の疑いをもたれて難渋の日々がつづいた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シャルドンヌ」の意味・わかりやすい解説

シャルドンヌ
Chardonne, Jacques

[生]1884.1.2. バルブジュー
[没]1968.5.30. ラフレット
フランスの小説家。本名 Jacques Boutelleau。長い間出版社の共同経営者として,文学部門を担当。 37歳で処女作『祝婚歌』L'Épithalame (1921) を発表,繊細流麗な文体で男女の問題に新しい光をあて,名声を博した。その他『エバ』 Eva (30) ,『クレール』 Claire (31) ,『感情的宿命』 Les Destinées sentimentales (3部作,34~36) など。第2次世界大戦中の対独協力により戦後はたいした活動をせずに終った。

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百科事典マイペディア 「シャルドンヌ」の意味・わかりやすい解説

シャルドンヌ

フランスの作家。本名Jacques Boutelleau。パリの文学出版社の経営者の一人。37歳のとき処女作《祝婚歌》を発表。日常生活における夫婦の幸福を心理的に追求したモラリスト風の小説。ほかに《エバ》《クレール》《ロマネスク》《カトリーヌ》がある。

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