シャール(読み)しゃーる(英語表記)Robert Challe

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シャール」の意味・わかりやすい解説

シャール(René Char)
しゃーる
René Char
(1907―1988)

フランス詩人。南仏のリール・シュル・ソルグに生まれる。1929年ニームの出版社から『兵器廠(しょう)』を出す。シュルレアリスムの運動に参加し、ブルトンエリュアールとの共著『仕事を遅らせる』Ralentir travaux(1930)を発表する。そのころの詩集に『アルチーヌ』(1930)、『打ち手のない槌(つち)』(1934)がある。

 ロートレアモンランボーを愛し、ギリシアの哲人ヘラクレイトスの思想に影響された。第二次世界大戦では、対独抵抗運動の隊長として活躍し、そのときの体験は散文詩集『眠りの神の書』(1946)のポエジーとなった。この詩集は親友カミュに捧(ささ)げられているが、2人の文学者を結び付けているものは、不条理な世界に対する反抗である。『眠りの神の書』は、それまでの諸作品とともに、詩集『激情と神秘』(1948)となった。

 戦後は故郷に戻って自然のなかに暮らし、生命感と人間信頼にあふれる独自な宇宙的世界を創造する。詩集に『砕かれた詩』(1947)、『内壁草原』(1952)、『恋文』(1953)、『基点頂点を求めて』Recherche de la base et du sommet(1955)などがあり、1983年には、プレイアード叢書(そうしょ)の一巻として全作品がまとめられた。

[窪田般彌]

『ピエール・ゲール編、山本功訳『ルネ・シャール詩集』(1969・思潮社)』『窪田般彌訳『ルネ・シャール詩集』(1971・晶文社)』


シャール(Robert Challe)
しゃーる
Robert Challe
(1657―1721)

フランスの作家。1713年に出版され、長い間忘れられていた小説『フランス名婦伝』によって、17世紀から18世紀に至る小説を考える場合、重要な作家として最近注目を浴びている。この作品には、若い男女たちの恋愛から結婚に至るまでのさまざまなできごとが、17世紀末のパリ背景に、写実的に描かれているからである。

[原 好男]


シャール(アダム・シャール)
しゃーる

アダム・シャール

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シャール」の意味・わかりやすい解説

シャール
Char, René

[生]1907.6.14. ポークリューズ,リールシュルソルグ
[没]1988.2.19. パリ
フランスの詩人。初めシュルレアリスム運動に加わり,『兵器廠』 Arsenal (1929) ,『主なき槌』 Le Marteau sans maître (34) など,理性の介入を極力排したオートマティスムによる詩を書いたが,1937年グループから離れた。第2次世界大戦中は対独レジスタンスに加わり,当時から戦後にかけて書いた詩によって名声を確立。『ただ残れるは』 Seuls demeurent (45) ,『イプノスの手帳』 Feuillets d'Hypnos (46) ,『狂熱と神秘』 Fureur et Mystère (48) ,『早起き鳥』 Les Matinaux (50) などでは,詩形は極度に簡潔となって難解の度を加えるとともに,郷土プロバンスに根をおろした,男性的で内省的な傾向が著しい。

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