日本大百科全書(ニッポニカ) 「フェルビースト」の意味・わかりやすい解説
フェルビースト
ふぇるびーすと
Ferdinand Verbiest
(1623―1688)
中国の明(みん)朝末から清(しん)朝初めに活躍したイエズス会士。ベルギー生まれ。漢名は南懐仁(なんかいじん)という。1641年イエズス会に入り、中国での布教のため派遣されて1659年中国に到着。陝西(せんせい)での布教にあたったが、まもなく北京(ペキン)によばれ、アダム・シャール(湯若望(とうじゃくぼう))を助けて欽天監(きんてんかん)(天文台)で活躍、一時、その任を追われたが復職した。アダム・シャール没後も修暦に従事、1673年欽天監監正に任ぜられた。西洋式の各種天文観測機械の製作と解説書『霊台儀象志』や、世界地図『坤輿全図(こんよぜんず)』(1674)と『坤輿図説』(1672)を著したほか、大砲の鋳造も指導するなど幅広く活躍した。宣教面でも中国教区長を務めた。
[宮島一彦 2018年2月16日]
『陳舜臣編『人物中国の歴史8 落日の大帝国』(1982・集英社)』▽『衛藤利夫著『韃靼』(中公文庫)』