ドイツの法哲学者。H.コーエン,P.ナトルプなどの影響を受けた,新カント学派(マールブルク学派)法哲学の創始者の一人。マールブルク大学,ギーセン大学,ハレ大学,ベルリン大学の各教授。法実証主義を批判し,法理念の考察の必要性を説いた。そのためカントの批判主義の方法を導入し法の純粋形式の探究に努めた。法の概念を,いっさいの経験内容を捨象した〈不可侵的で自主的に結合する意欲〉に求め,普遍妥当的な法理念として〈自由に意欲する人々の共同体〉の理念を示した。他方シュタムラーによれば,この法理念は実定法を直接的に規制するのではない。究極的な法理念と具体的法判断の間には両者を媒介するものが存在する。これが有名な〈可変的内容をもつ自然法〉ないし〈正法〉である。シュタムラーの法哲学に対しては,法理念の重要性を再認識させまた現代自然法論に影響を与えたとする積極的評価がなされる一方,法理念の形式性と具体的社会理想を混同しているとの批判も存在する。
執筆者:桂木 隆夫
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